*『預言者』レンタルで観る。おもしろかった。『ディーパンの闘い』は終盤の暴力による救済が『タクシードライバー』みたいだったけれど、本作品を観ると『グッドフェローズ』からの影響を見て取れる。主人公がボスから取引先に派遣され実は殺される危険性にさらされるところ、なりあがる世界での忠誠と裏切り、『グッドフェローズ』だ。オーディアールはスコセッシが好きなんだろうな。本作品は誉れ高いだけあり、これまで観たオーディアールのテクストよりもおもしろかった。意外性があるところがあり見入る。
*先が読めない造りであるのでよい。も、『グッドフェローズ』を読み取るとこちとら先が見えてきたりはする。それでも『グッドフェローズ』とは違った意外性がある。あと、限定される空間での心理的に淡々と進む感じはロベール・ブレッソンしている。
*ドキュメンタリータッチというわけではないが、ドキュメンタリーを見やすくするため形作るジャンプカットなんかを取り入れたりとそのストラクチャー、リズミカルにおもしろさを表す。
*アラブ勢が侵食していく図は現代フランスの現状をリプレゼントしているのかな。しかし得体の知れないものが闖入してくるような観ではなく、主体はアラブにあり、むしろ彼らの気高さが指し示される。
*なりあがり者のセンスであるが、無学の若人が知恵を得、やがて仲間から信頼と尊敬を得るまでに成るところはスコセッシのアイロニーと違う。日本人は自身を蔑んだりの自己諧謔を表したり、アメリカ人は自身やアメリカを皮肉るアイロニーを表したりするが、フランス人にはそれが言語的にないようなのである。だから、よく言えば気高く、悪く言えば気取ってるようにフランス人は見えるのかもしれない。でもそれはしょうがない。そもそもから文化的にそうしたものがないのだから(自己諧謔的なギャグはないけれど、もちろん他の在り方としてジョークなりギャグなりはフランスにはある)。『グッドフェローズ』のラストはアメリカ風なアイロニーの終わり方であるが、本作品の気高さ表すエンディングはフランス的なんだろうな。本作、セザール賞を獲得したり、カンヌ映画祭でも受賞の歓喜。フランスでは大いに受け入れられるものとしてあるのだろう。
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