終わりなき旅は続く
類いまれな縁が、旅とアートを強く結び付けている。
旅先での一期一会。感動と笑い。何よりも混雑とは無縁の快適な環境。
旅と縁とアートとの融合《Tripenart》は、たとえGo To がなくなろうとも、永遠に続いていくだろう。
生涯をかけて、足跡を残しながら、真理を探していく
We still haven't found what We're looking for…
《岩手3》承前
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1977749192&owner_id=8666179
岩手の旅は、青森の旅検索のふとした発見で追加された。
4月に旅立つ予定だった青森TripenartがCXLの憂き目にあって、再びの機会。
ちょうど、宮城県美術館から巡回されてきた東山魁夷の名品が盛岡にやってきている。
それならば、行きがけの駄賃。
調べてみると月曜日休館の当館。
予約してあった青森スタートを岩手スタートへGo To Changeして、まるで、秀吉の中国大返し。
世界遺産はアペリティフでしかない。
(岩手県立美術館)
たどり着くまでに2つのドラマ。
まずはレンタカーを返却して、身軽になってからの訪館をプランニング。
ところが、給油のミッションを失念していて、盛岡界隈をスタンド探しに右往左往。
振り返れば、このロスタイムがやや痛かった。10分でもマジックアワーの美術館に立ち会うべきだった。
もう1つは、盛岡駅から乗車した個人タクシー田端さん
移動中のよもやま話で、川崎からやってきたと伝えると、

「川崎市高津区?」

「いや、幸区。なぜ?」
曰く、

「川崎に兄貴がいた。自分が7人兄弟の末っ子で川崎の兄貴は6番目。青森から実家を出て中央大学の夜間に通っていたが、カネ使いが荒くて、集団就職で埼玉にいたオレ(運ちゃん)のボーナスを当てにして、その時期になると無心にやってくる…」

「どこでも兄貴なんて、そんなものですよ」

「弟(運ちゃん)がタクシーの運転手をやってるっていうんで、岩手に帰ってくると自分(運ちゃん)の運転をへたくそとけなしていた。いつもは静かな兄貴なのに、ハンドルを握ると人が変わるというか、暴走しちゃうんだよね…」
美術館までクルマで12分程度と聞いていたが、かなり話が深く長い。

「岩手と山形をつなぐトンネルができて、兄貴はそこでスピード出して自爆。そのトンネルの死者1号になっちゃった…。結局、借りた金、一銭も返さずに」
感想の返しようがない
運転手さんは実家の青森から埼玉で働いて、いまは岩手で個人タクシーについている。
兄貴の話はそれでおしまい。カーブもシュートもなく、かなりストレートな悲劇だった。
その後、自慢の岩手山や北上連峰のガイドをしながら、美術館が見えてきた。

「東山魁夷が来てるんだよね。うちの奥さんが行きたいって言っていたな」

「とても素晴らしい障壁画ですよ。奥さんとぜひ。あと、松本竣介さんの作品が好きなもので

」

「松本竣介。ここの出身だね。知ってるよ

」
復路に比べると300円ほど運賃が高かったけど、とても暖かい運転手さんだった。
田端さん、ありがとう
《東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展》
奈良唐招提寺の大規模改修を受けて、数年がかりで巡回されている障壁画展。
自分もなお、3年前の茨城で展示を鑑賞しているが、これは自信をもって推奨できる作品展。到着した15時50分から、閉館の18時でコレクションを含めたすべての展示物が観られるかどうか。ワイフさんと一緒なら、16時には退館するのだろうけど
冒頭から珠玉の大作『波濤』と対峙する。
目を見開き、声も出せず、微動だにもせずにいる初対面の鑑賞者
東山魁夷、人生の掉尾を飾る屈指の作品に出会えた縁に感謝しかない。
中国の山水を題材にした水墨画にも同様の感動を得て、まばらな1階鑑賞室をあとにした。およそ60分。つまり、閉館まで残り70分。
コレクション展の2階へとスロープを上がっていく。
チケット受付のおねえさんから、

「コレクション展のほか、松本竣介・舟越保武・萬鉄五郎の展示室も鑑賞できますよ

」のガイダンス。
知らなかった
ここ岩手県出身で、多くの所蔵品を持つことは知っていた。
ただ、入館時の印象は、東山魁夷の大巡回をやっているのだから、松本竣介作品は常設に2枚程度だろう。という、勝手な期待薄。
自館所蔵とあってフォトフリー。
1室まるまる竣介だらけで、およそ20枚。
ほぼすべての作品をスマホに収めてきたが、マイベストはこれ↓
『序説』(1939年)
アーティゾンから始まった松本竣介巡りは、鎌近、竹橋、大原、宮城、大川と経て、ここ岩手で八合目。
画風は全く違うのに、36歳で夭折の松本竣介を日本で、そして31歳で夭折のスーラを世界に追いかけていく。永遠のTripenart
ダミアン神父を彫作した舟越父の美しきミューズたち。
全財産を叩いても、このファムファタルを手元に置きたいが、かなわぬ夢。
萬鉄五郎が、やや速足で。
あまり見慣れないキュビズムな作品に足を止め、写メをする。
コレクション展からはTripenartの縁に関わりの深い吹田文明。
世田谷美術館でのエピソードが、それは素敵だった。
現代アートから2枚。作家名は記憶にない。
申し訳ないことに幾つかの作品は「走る美術館川オス」でショートカット。
やはり、これだけの美術展を2時間で鑑賞するには取捨選択が必要だった。
とはいえ、最後の20分。
スタッフ以外に誰もない1階フロア。

「もう1度、拝見してもよろしいですか?」

「もちろんです

18時まで、たっぷりとどうぞ」
再び『波濤』を前に立ち尽くす。
2時間前は2、3人がちらほらとやってきていたが、この時間は文字通り貸切鑑賞。
セキュリティスタッフも気を遣って気配を消している。
貴重な10分間。奇跡の時間。
ラストコールが流れ、警備員が閉館を告げる。
美術館内のタクシーフォンで1台のタクシーを呼び出して、盛岡の夜は過ぎていく。
★10.
日記の長さが感動と比例する。つまり、唯一無二の贅沢な時間。
地元メシは焼肉と冷麺。
銀座にも支店があるという《ぴょんぴょん舎

》で、高級和牛

(自称)に舌鼓を打つ。
まだまだ旅は終わらない。
(つづく)
■コロナ禍、気になる地方移住 後悔しないコツと注意点は
(朝日新聞デジタル - 12月08日 19:30)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6335663
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