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2017年05月24日00:40

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その14




                    アドレサンス



  オゾンの『17歳』においてイザベルは、我々に夏のバカンスやリセへの憧憬を抱かせ、妄想的に恋焦げチンチロゲにさせたソフィーマルソーやフィリピーヌ・ルロワ=ボーリューをアンチし、藤吉久美子が演じる元気一杯ウブとも違い、神代辰巳やバキさんや山田詠美が描くような秋吉久美子のように街を彷徨い歩き、ジュストダンカンのようにセックスに耽り、チョーベリーバーしている。しかし、彼女だって思春期であることにかわりはない。彼女だって『ウィ・アンド・アイ』のテレサと同じように、内なるもの外なるものにもどかしさを抱えまくっているのである。思春期は不安定を抱え、リベラルに様々なるものと闘っている。
  フランス映画の歴史を扱ったドキュメンタリーを観たとき、思春期モノは仏蘭西映画の伝統として紹介されていた。そこに仏蘭西映画のクラシックが表わされていたけれど、教室の後ろの席の子供が前にいる子供の頭にめがけて消しゴムを投げ、前の席の子がふりむくと投げた子は素知らぬ顔で口笛吹いている、や、生徒が教師からほぼ虐待的に懲罰をくらう、そうしたシーンがあったように記憶する。思春期の人物を描いたものは、なにも仏蘭西だけに存在するわけがないと思ったけれど、よくよく考えるに、子供主体のものはあちこちの国にありそうで実はそんなに多くはないのではと思う。日本だったら、例えば児童映画があるが、それは大人の事情も並行して表わされるように思う。ちびっこギャングなどのクラシックはあるが、マチュアなヒトが好まれるアメリカでも子供のリアルな主体性はあまりない(ただし、大人になれない大人のハナシはありすぎるほどあるが)。
  フランスでは子供の世界の自律性が、仏蘭西らしくリベラルに表わされている。そうであるとき、『危険なプロット』と『グッバイ、サマー』は、仏蘭西シネマ伝統的な思春期モノである、とそう思え、そう気が付くのである。前者は教師のエゴを忌み嫌う若人のハナシであり、教師の視点が介在するから少年はやや奇妙な存在として表わされたりするが、クロードは決してオーメン6×3なダミアンなのではなく、寧ろアントワーヌドワネルのように大人の社会に対して疑いを持って尖っている者であり、彼の社会に対する批判が勝って表わされる。後者はルイマルなザジやヴァルダな素朴派が表わされるけれど、それよりもなによりも、ユートピアに尖ってジャンヴィゴしている。トンガリ坊主と成長し男となる坊主が主人公であり彼らの視点が表わされるのであって、子供の喜怒哀楽をもったオルタナ世界観がなによりも勝ってイマジネイティヴに描かれている。
  フランスではこんなにも子供の世界が子供の目線にたってリベラルにミネラルに表わされるではないか、とアメイジングである。日本だったら、大人の眼差しが介在し子供を暖かな眼差しもって見守ったり、或いは、道徳の時間的に大人の実況中継が大人のオーディエンスを安心させるために表わされるものであったり、子供だけに任せるなら、句点ラブなもので内に閉じこもったり、或いは、サイコキラーまでに超越しちゃう青春ホラーもの、そのようなリアルなきスピリチャル性に留まってしまうだろう。アメリカであれば、子供たちが少々間違うことをやれば自律性は真っ向から否定され、キャンプ場でチェーンソーに切り刻まれる粛正が待っている。或いは、徹底的にアホな高校生を描いたコメディとしてリアルなきものが表わされる。日本もアメリカも、リベラルよりモラルが大事であるがゆえ、嘘のような若者を表わし、そのようなイメージが頭に植え付けられ我々はそれゆえ、ホントは蚊帳の外ただただパロディとして生きざるえなくなる。
  ヒトは決してパロディに成りえないし、あってはいけない。ボーイズビーアンビシャス、ガールズビーアンコンシャス。白目を剥いて絶叫するのである。不安定であるがゆえ異を唱える。痰や蜘蛛を撒き散らす。毒は毒蝮がジジババにばかりに撒き散らすのではなく、若人もアンフォルムを構築するのだ。オゾンとゴンドリー、ちょっとロマン派的な傾向があるのがあるのはあるのだけれど、イマドキのロマン派はナショナリズムを掲げないであろう。♬栄光の日が来た! 我らに向かって 暴君の 血まみれの旗が 掲げられた♬ ラ・マルセイエーズ、歌詞が恐ろしすぎるが、アドレサンスはそんなこと物怖じせずに青春のホロ苦さを跋扈するのである。



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