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2017年05月13日22:37

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ウィ・アンド・アイ



『ウィ・アンド・アイ』
  これはゴンドリーにとっての『昇天峠』なのか、とも感じる。いつもの機会仕掛けのイエローマゼンダシオンではない方向性でやっていきながらも、彼印である映像演出は施されシュールレアルってはいる。
  ワークショップ形式で撮ったセンスは予想していたけれど、たぶんその過程で、だいたいの流れはつくっておきながら〜のエチュードやりながら〜の台詞をその場でかためていったようなダイアローグ、それゆえ、冗長した会話もそこには生じてしまい、そこに戸惑いが生まれた。ラストも、なんとなくありきたりのボーイミーツガール作品のエンディングに思えたけれど、一夜明けると、心を優しくさせてくれる映画だったと感じてくる。冒頭からの、テレサの一途な気持ち、そしてリミックスカルチャー機器を捨て去るマイケル、夜の帳を歩いていくふたり、なんとなく優しい風景で心休まる。






『ウィ・アンド・アイ』その2
  リサーチに3年掛かり、コミュニティセンターで出会った若人を出演させた、というと、それなりにダイアローグもアクトも完成させた形で現場に臨んだのであろうと思われる。丁寧なつくりの印象をもつ。されど、スターがいないから、DVDはいい加減なつくりとなり、チャピター選択も字幕選択もない。チャピターないからパート1の「悪ガキども」とパート3の「The I 」の間のパート2はなんだったのか探すのもいちいち面倒臭くてできない、尻ブプレ!スラングを覚えたくても、英語字幕が出なくてケツくせー!
  このようにリミックスにコンビニエントな機材のマシーンエイジに反する作品である。けれども、しるぶぷれ、その不便さもまた、この作品の魅力になるものである。ブロンクスはあまり行かなかったけれどマンハッタンにもこの作品に表わされるような高校生はワンサカいて、ここに現される感覚まさにリアルを放っている。ゴンドリーもいつものオモチャ箱をひっくり返したような自称エンタメ☆ショー形式ではなく、もちろんシットリでもなく、等身大の高校生を輩出しながらまさにリアルTV的な様相に示し、そしてそうしながらも、毒を排出しながら、そのポイズンはシュールリアルなもの、すなわち気付かない現実を描き切る。
  気付かないポイズンの輩出、まさに呪われている。ゴンドリーは彼のテクストにおいて、常日頃から、痛み、蜘蛛、痰をファンタジーのアンフォルムに発しているのである。『昇天岬』のような現実離れした流れのなか、ブニュエルの如くに、聖マイケルは贖罪ビトと化しては罪をさらに犯し、そして聖人たちとも出会っていく。清めの旅で主人公がホントのラブと出会うのは、まさにアメリカ映画なセンスにいるが、漫画原作のジャポネーズラブストーリー句点とは違った形で、アメリカならではのリアルを確かにシュアーに切り取っている。
  マンガは美男美女が繰り広げる憧れのラブファンタジーなのではなく、頭んなかが二次元3Dしている若者にとっては現実であるように、この世界を切り取っている。それと同じように、ゴンドリーのグリッドに表わされるもの、とてもバンドデシネする。スターウォーズとはまた別のダークサイドが、ゴンドリーしているのである。バスの窓の奥行きにあるピザ屋も、突然出現する聖人も、薬の接種により太っちゃうティーンエイジャーやゲイのラブのトラジェディーと同じリアル、みんな喜怒哀楽しながら生きている。
  頭んナカでリミックスとエンタメで忙しいモダンピーポー、そうした認識には括れないものも表わすのだ。心情の吐露、夜の帳に歩いていくマイケルとテレサに表わされる。このラストもバンドデシネしているが、また新しく創造される日常としてのラブなのである。街の雑踏にひとりひとりが結びつき、生きているのである。


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