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2026年05月05日10:36

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『哀れなるものたち』覚え書き


*『哀れなるものたち』(Poor Things 2023;ヨルゴス・ランティモス)購入したので再見する。おもしろかった。(その)時代に抗えずに命を絶つ女性のエスタブリッシュショット。その時代とは、父性が支配する封建的社会だ。彼女は母性を身にまとい世界を吸収するために再生する。クリーチャーである彼女は封建的な3人の男性たちと出会う。友愛を形とするキマイラたちを創造する寛大なるゴッド、されど彼女を実験対象としても見るバクスター。自由を愛するとうそぶくダンカンは女性の自由の前ではとまどうばかり。夫/父である将軍は狡猾に、そして恐怖をもってヒトを支配する。再生したクリーチャーは無垢なる脳みそ/マインドをもって父性社会と対峙する。彼女は生成する。知恵を得ること、それは勇気を得ること。

*魚眼レンズの映像があるけれど、それはいびつな世界観を表すだけではなく、実験される被写体を凝視し観察しているかのようなセンスも表されている。魚眼レンズ映像だけではなく、ベラが旅立つ前の初盤のあたりは総体的に実験対象に向けた観察眼な感覚。思えば、『籠の中の乙女』然り『ロブスター』然り『聖なる鹿殺し』然りランティモスのテクストは誰かが実験被写体(だいたいは主人公)を捉えるような、支配欲を備えた観察眼がそのストラクチャー、表されている。されど本作、『籠の中の乙女』の少女が自身の自由意思で外に出るけれど、なんだか、その後日談のようにも見えてくる。ベラが家から出るとその後は、観察眼で捉えられるセンスはなくなり、彼女の冒険譚的な様相へと変化する。

*本作品はフェアリーテイル的な感じであること、オープニングクレディットを縁取る背景群がまずはそのこと語らしおん。本作品はベラの冒険譚的フェアリーテイルである。

*赤ちゃんの動きからロボット的、そして女性の雄姿、となかなか普通の動きから逸脱した所作を表すエマ・ストーンだけれど、本作品はアンサンブルキャストによる醍醐味もあるけれど、座長であるエマがきっちりとベラを演じ切り、アクトのなかで彼女を創造してみせ、皆を引っ張っているという力強さがスクリーンから伝わるものであり、彼女のオスカー主演女優賞まさに納得となる。

*ランティモスは『籠の中の乙女』は凄くて『ロブスター』は飄々としたユーモアが印象的、な感じであるも私的にはとっつきにくいところがある。も、現在の旬な映画作家のひとりであるからちょいと追っている。『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』と前述の3作品はなにかキューブリックなセンスを感じるけれど、キューブリックも最初はとっつきにくかったのだけれど、レッドツェッペリンもピンクフロイドも最初は分からず、だけれど多くを魅了している、なぜだろう、な感覚で追ってったと同じ感覚で追っているけれど、ランティモスもそれと同じ感覚でストーキングしてしまう。



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