完全に閉鎖的だったハンセン病療養施設の島・大島。
2010年にスタートした瀬戸内国際芸術祭を機会に「多くの方が大島を訪ね、記録・記憶を伝えること」という入所者の希望に沿ったプロジェクトを進行させた。
ハンセン病に対する間違った知識、或いは明治時代に政府が取った取り返しのつかない隔離政策を繰り返さないために。そんな思いで、3年に1度だけの瀬戸芸で、アートフルな大島と青松園が共存する。
(実質は会場が正式決定される2007年から、プレスタートをさせている)
《瀬戸芸2-3》承前
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983491048&owner_id=8666179
今でこそ入所者40人の平均年齢は85歳と日本人の寿命を超えて暮らしている人たちがいるが、ハンセン病は子どもにも罹患する。
従って、普通に小学校生活を過ごしていた住民でさえ、ハンセン病と判断されれば、この島へ送られ、そして生涯をここで過ごすことになる。
資料館に展示されていた写真の中で、一番衝撃的だったのがこの1枚。
昭和33年。野球チームが島に慰問にやってきて、そしてチームが高松へ帰る船から島民たちを映したパネル。
島に残った彼らには、すでに完治する薬が完成して、もう感染症でもない状況であったにも関わらず、隔離政策だけが続けられていた。
療養者間での男女交際や結婚は認められていたけれど、感染症を後世に残さないという厳命で取られた優生保護政策。
この山道は、島民の人々にとって唯一のデートコース。
鴻池朋子作品『リングワンデルング』
高松市美術館でその断片を鑑賞してからやってきた。
蜘蛛の巣が張り放題の山道を、およそ20分もかからずに周回した。
島民たちが何を思い、視線の先にある庵治町を眺めていたのだろう。
『青空水族館』(田島征三)
2010年の第1回から精力的に参加しているアーチスト・田島征三。
1940年、大阪生まれの絵本作家は、このプロジェクトに参加するにあたり、島民たちとの会話を存分に繰り返し、作品化していったという。
『つながりの家』《やさしい美術PJ》
島民たちも参加した《やさしい美術プロジェクト》が展開する作品の数々は、ハンセン病患者としてのアーカイブが続く。
象徴的なのが2001年5月24日、全国の新聞が集められている。
熊本地裁国側敗訴で「応訴確実」と思われていた判決に、5月23日、当時の小泉純一郎首相は「控訴断念」を表明し、らい病訴訟の行く末に光明を得た瞬間であった。
『海峡の歌』(山川冬樹)
写真家である山川冬樹はヘルメットにカメラをつけて、大島から本土・庵治町まで2�劼粒ざ�を泳ぐ。
ただひたすらにそのシーン。実際に、療養者にもこのように逃げ出したものの居るらしい。果たしてたどり着いたその先に、待っていた人生はどんなものだったのか。
『稀有の触手』《やさしい美術PJ》
ハンセン病の特長は四肢末端に障害や異形が発生すること。これを『稀有の触手』。
残念なことに、その病魔は視覚を奪うことが多く、従って島内にはそれぞれの街区にオルゴールが流されていて、今、自分がどこの街区にいるかをその音で知る。(盲導鈴)
アスファルトに舗装された道の中央には太い白線が引かれているのは、弱視となっても「白」だけは最後まで認識ができるそうだ。(盲導線)
そして、居住区の道端に設置された白い柵は、ここを杖で叩きながら自宅へと帰っていく。(盲導柵)
『Nさんの人生・大島七十年‐木製便器の部屋‐』(田島征三)
おそらく島内作品の中で、一番の刺激を受ける連作。どんなアーカイブよりも。
小学生の時に罹患して、家族から一人離れ島へと連れてこられたNさん。
「すぐに治って帰れると思っちょった。けれど、母は髪の毛を振り乱し、どこまでもどこまでもバスを追ってきたのが不思議だった」
連れてこられた部屋には木製の便所。
医者らしき大人が全身予防服に身を包み、ピンセントで薬が渡される。そして、Nさんから受け取ったものはすべて消毒液に浸してから、処理をする。
あれ、令和4年6月のコロナくん療養施設によく似たり。
強制労働といっても豚の世話。もし軽症者であるなら、重症者の看護も仕事のうち。
男女の恋愛はできるし、結婚もできるけれど、子供を宿したらすべて強制的に始末される。これが、優生保護法のルール。
そして、当時のらい予防法や優生保護法を推進した学者の姿。
彼、光田健輔氏は国から勲章をもらい、功績をたたえられる。多くのハンセン病患者とその家族を犠牲にして。
およそ2時間の大島巡り。
自分にとっては行くべき場所だった。川崎オスカーは、そういう風にできている。
■ウサギの島のウサギはどこに消えた? 新型コロナで観光客減、えさの量も減って…3年間で900匹→400匹ほどに
(まいどなニュース - 10月18日 07:20)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=262&from=diary&id=7152153
ログインしてコメントを確認・投稿する