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2008年03月30日21:40

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ピナ・バウシュ/ブッパタール舞踊団『フルムーン』

3/28(金)夜、19:00〜、新宿文化会館大ホールで、ピナ・バウシュの演出・振付によるブッパタール舞踊団公演『フルムーン』を観る。
ピナの最新作である。2006年5月が初演との事。
上演は、前半60分、20分の休憩を挟んで、後半70分。
席は6列の真ん中寄り。6列と言っても、かまぼこ型の舞台の真中からは、前から3列目。よく見える。ダンサー達の息遣いや鼓動迄伝わってくるような気がする。

舞台には、上手に大きな岩が見える。その下を、舞台幅いっぱいに川が流れているのは、後から判る。

始まりは、男性ダンサーが空のペットボトルを振り回して空気の振動音をホールに響かせる。それに続くのは、孤独な狂おしい踊り。
空のペットボトルによる振動音は、満たされぬ感情の表現だったのだと判る。
フルムーン、満月の夜の、満たされぬ思い。
以前のピナの舞踊は、孤独と絶望、そんなマイナーなエレメンツが支配していたように思うが、今回の公演では、自分を相対視するゆとりがある。
ゲーム感覚や、遊びの感覚も、随所の踊りに表わされる。
満月の宵、愛の宴は、いろんな情感の交流によって盛り上げられる。

1部も2部も、後半で雨がシャワーのように降ってくる。
雨の中で感情をぶちまける。そして川の水を掛け合う。走り回り、泳ぎ廻る。
水は人の感情を自由にする。
最後のコーダは、音楽も次第にクレッシェンドし、各所で使われたモチーフがロンドのように繰り返し繰り返し再現される。
そして、ソロから人が増え、全員のアンサンブルダンスへ。
観ている自分の胸が熱くなっていくのが判る。
絶望から歓喜へ、表現の幅の広さ、舞踊言語の多様さに全く驚かされる。

エンドの後、拍手の要求で、ひと呼吸置き、全員がびしょ濡れのステージに並ぶ。
真中にピナもいる。
上品な顔立ちと背筋の伸びた姿が、すぐそこに見える。
拍手はスタンディングオベーションに取って代わる。

演出・振付 ピナ・バウシュ
舞台美術 ペーター・パプスト
衣装 マリオン・スィートー
出演 パブロ・アラン・ジメーノ,ライナー・ペーア,シルヴィア・ファリャス・エレディア,ディッタ・ミランダ・ヤジフィ,ドミニク・メルシー,ナザレット・パナデロ,エレナ・ピコン,ホルヘ・プエルタ・アルヘンタ,瀬山亜津咲,ジュリー・アン・スタンザック,ミヒャエル・シュトレッカー,フェルナンド・スエルス・メンドーサ

ドイツ以外にも、日本人含め、多種多様な人種が混じり合う。
ダンスが言葉も歌もあらゆる身体表現を含めて総合タンツテアターに拡がったように、人種の垣根も取り払われた。

写真は1が、『フルムーン』より、2は今回の来日でのもうひとつのプログラム『パレルモ・パレルモ』から。
3はピナの最近のポートレート。1940年生まれだから、今年68歳になるが、今も美しい。
 
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