(続き)
《デコボコの舟》(2022/石膏・彩色)
幅約3m。以下、全体写真。
レポート~1に掲示したポスターは、本作品の部分である。
中央に「生命の樹(?)」があり、その幹を取り巻いて様々な事をしている女性や動物たち。
船尾には、先の《影、魚をねかしつける》と同じく、大きな魚を抱えている少女の姿が見える。
冒頭で掲げた「丸の内ストリートギャラリー」のリンクで見る事ができる中谷作品も《小さな魚を大事そうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥》(2022)と言って、大きさは違えど魚が大事なモチーフとなっていた。
船尾で魚を抱いた少女の左側には、「産む人とそれを助ける人たち」もいる。
魚が死んでいるとすれば、ここでも死と生がループする様が見てとれる。
更に左手には、赤ん坊を奪い合って激しく争う女たちがいる。
その赤ん坊を、小舟の中から受け取ろうとする女性。
赤ん坊が乗った小舟を後ろから押して海へ出そうとしている親子も。
赤ん坊は一体何処へ行くのか?
この舟は何処へ行くのか?
中谷は、《影、魚をねかしつける》でも《デコボコの舟》でも、一様の世界を描いていない。ここに強い特徴がある。
彼女の作品の中では、協調と拒絶が繰り返されている。単純な明るい社会、夢のある世界が描かれているのではないし、ただの絶望が描かれているのでもない。
下は《デコボコの舟》の前で、多用なモチーフと、善悪とは違って言葉にしにくい生と死のテーマにつき一生懸命語りかけようとする中谷ミチコ。
◆2階展示室
ドローイングは48点の中から数点紹介しておく。
もう既に造形作品に採り込まれたらしきモチーフもあるし、これらから造形作品が生まれる事を期待したいモチーフもある。
〈参考資料〉
記録集『中谷ミチコ 影とぽっこり』
執筆 中谷ミチコ,扉野良人 他
発行 2026.8.7、浜松市秋野不矩美術館
ログインしてコメントを確認・投稿する