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2026年03月06日13:00

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上野星矢・谷昂登デュオ・コンサート

3.4(水)、アクトシティ浜松中ホールで行われたフルート上野星矢(せいや/1989- )とピアノ谷昂登(あきと/2003- )のデュオ・コンサートを聴いた。

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上野星矢は2024年5月、富士山静岡交響楽団の第124回定期演奏会でモーツァルトのフルート協奏曲第1番K.313(285c)を演奏したのを聴いた。伸びやかで明るい音だった。指揮は鈴木優人。

彼のプロフィールと当夜の演奏については、以下のレポートを参照頂けたらありがたい。
「富士山静岡響第124回定期〜上野星矢のフルート」(2024.5.27記)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1987678005&owner_id=3341406&org_id=1987682557&from=neighbor_prev

谷昂登は2003年福岡生まれ、今年23歳になるという若手だ。
谷は2017年の第38回霧島国際音楽祭で「霧島国際音楽祭賞」と「堤剛音楽監督賞」を13歳で受賞したというピアノの逸材。
また、2021年の第90回日本音楽コンクールのピアノ部門では、18歳で第1位と岩谷賞(聴衆賞)を獲得した。
現在は桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコース(特待生)で、2023年秋からケルン音楽大学に留学している。

開演前に2人のプレトークが行われ、その中で、彼ら2人のデュオ演奏は今回が初めてだとの事だった。が、音楽祭のオーケストラ(たぶんキリシマ祝祭管弦楽団)に上野が参加した時に谷がピアノコンチェルトを演奏したとの事で、正確に言えばそれが初共演だった、と。
谷は室内楽にも力を入れており、昨2025年11月にはハーゲン弦楽四重奏団とシューマンの名曲ピアノ五重奏曲を演奏している。

今回のデュオ・コンサートのプログラムは以下の通り。

1)J・S・バッハ(?)〈シチリアーノ〉
2)サティ《3つのジムノペディ》より第1番
3)ドビュッシー《牧神の午後への前奏曲》

4)ドビュッシー《レントより遅く》,《喜びの島》(*)
5)ストラヴィンスキー/アゴスティ編曲《火の鳥》よりフィナーレ(*)

 〜休憩〜

6)プーランク《エディット・ピアフに捧ぐ》
7)プーランク フルート・ソナタ
8)フランク フルート・ソナタ

…(*) 4),5)のみピアノ独奏

1) 原曲はJ・S・バッハの〈フルートとチェンバロのためのソナタ〉BWV1031の第2楽章。
シチリアーノの名曲として大変に有名だが、C・P・E含む息子達や弟子らの手によるもので、大バッハ作ではないらしい事が最近分かってきた由。
それはともかく、上野は、地中海の古謡風のメロディを、繰り返しでは装飾音符をうまく使い、雰囲気を変えてたっぷりと唄った。
谷は少し遠慮気味で上品な伴奏。

2) はサティの代名詞となったジムノペディの第1番。原曲はピアノソロだが、フルートの息の長い音はよく合う。
サティは気が合わずパリ音楽院を中退、キャバレー「黒猫」での夜の仕事の合間にこれらを作ったらしい。
第1番は「ゆっくりと苦しみをもって」と指示がある。
上野は最近自分のリサイタルでサティをよく採りあげている由。

3) ドビュッシー(1862-1918)の原曲はオーケストラのために書かれたが、そもそも冒頭フルートで立ち上がる。上野は様々な音と気分と余韻を表現。

4),5) は谷のピアノソロ。
谷は、最近フランス音楽のレパートリーを増やしていこうという思いがあり、いい機会と選曲になった、と。テンポルバートで遊び心を巧妙に表現。
ストラヴィンスキー(1882-1971)のバレエ音楽《火の鳥》は規模の大きいフルオーケストラの原曲だが、いろんな版を自身残した。今回はイタリアのグイド・アゴスティ(1901-89)がピアノ独奏用に編曲したものよりフィナーレ。
谷は、ここでは遠慮なくグリッサンドを多用して盛り上げた。

6) はプーランク(1899-1963)も愛したシャンソン歌手エディット・ピアフ(1915-63)讃歌。1958~59年にピアノ独奏用に作曲した〈15の即興曲〉のラスト。《枯葉》のモチーフが繰り返し使用されている。
上野のフルートのビブラートはピアフの歌唱法を想わせる。

7) プーランクの様々な作品の中で最も人気の高い作品、また20世紀のフルートとピアノのためのソナタの最高傑作と言っても過言でない。
フルートの世界的名手ジャン=ピエール・ランパル(1922-2000)のアドバイスを受けて作曲を進めた。
全3楽章。第1楽章 アレグロ・マリンコリーコ、第2楽章 カンティレーナ、第3楽章 アレグロ・ジョコーソ。
フルートとピアノが合体したり分離したりして、多様な楽想を進展させるさまが見事。第3楽章では第1楽章冒頭が回想される。

8) はベルギーのフランク・セザール(1822-90)がヴァイオリンとピアノのためのソナタとして1886年に書き、同郷のヴァイオリニスト ウジェーヌ・イザイ(1858-1931)の結婚祝いに献呈された。
この名作を演奏したいという演奏家が多く、ピアノソロ、ピアノ4手連弾,フルート,チェロなどのために編曲された。
全4楽章で、第1楽章 アレグレット・ベン・モデラート、第2楽章 アレグロ、第3楽章 レチタティーヴォ・ファンタジア、第4楽章 アレグレット・ポコ・モッソ。
25分以上に及ぶ大曲だが、循環形式で作品全体に一体感をもたらした。
上野と谷2人は音色を使い分け、問いかけ、歌い合い、最後はフィナーレに向かって一気に盛り上げてエンド。
ホール中から大きな拍手と歓声が起こった。

アンコールではサティが1900年に書いたシャンソン《ジュ・トゥ・ヴー》。
つい体が動き、ワルツを踊りたくなった。


〈付記〉
席は1階第5列14番。

〈参考〉
プレトーク
 上野星矢×谷昂登

YouTube
プーランク フルート・ソナタ
 演奏 神田勇哉,長崎麻里香
 収録 ?
フランク フルート・ソナタ
 演奏 宮川彩音,新井瑛久
 収録 2021.8.18
 
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