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2026年02月26日12:52

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映画『CROSSING 心の交差点』

2.24(火)、シネマイーラ浜松で『CROSSING 心の交差点』を観る。

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監督で脚本も書いたレヴァン・アキン(1979- )はスウェーデン生まれのジョージア人。
ジョージアは黒海とカスピ海の間に存在し、古くはソヴィエト連邦下にあった小国。当時はグルジアと呼ばれていた。

ジョージア女性リアは学校で歴史の教師をしていたがしばらく前に辞め、闘病する姉の面倒をみてきた。姉は妹リアに、行方不明になった息子を探し出して欲しいと懇願して亡くなった。
今日リアは、彼がひと頃住んでいたという黒海沿いの港町バトゥミにやってきた。
リアからすれば、彼は戸籍上甥なのだが、性的にはトランスジェンダーで、心は女性だった。自らをテクラと称し、故郷を逃げ出したあと、しばらくバトゥミにいた。
ジョージアはセクシャルマイノリティ(最近は"LGBTQI+"という言葉がある)に不寛容で、テクラは父親さえからも白眼視され、世間から疎外されて隠れるように生きてきた。彼が故郷を捨てる事となった理由はここにある。
リアはテスラを護ってやれなかった事に強い悔悟の念を持っていて、何とか姉の遺言を果たしたい。
バトゥミでも差別を受けたテクラは、とうとうトルコのイスタンブールへ渡った。

アチという青年、バトゥミで兄夫婦の家に住んでいたが、仕事が続かない事もあって、家父長の兄からは邪魔者扱いされていた。何とか独立したいと思うが、小さな町にやりたい職業も見当たらない。
アチは偶然リアと出会い、事情を知った。
アチは、テクラの居所を知っているし、トルコ語も英語も話せるから力になれると出まかせを言い、一緒にイスタンブールへ行こうと申し出る。
リアはアチを信用した訳ではないが、アチの申し出を受け入れた。

2人は車でジョージアからトルコへ入り、バス、フェリーを乗り継いでイスタンブールへ渡る。
同じフェリーで、長いリュートのような形をした民族楽器をかき鳴らし歌を唄って乗客から小金をせびっていたイゼットとギュルペンベという幼い男女。
2人は船着き場に降りると、リアとアチに、イスタンブールのガイドをすると声を掛けてくる。勿論僅かな金目当てであるのは明白だ。
イゼットらはリアが持つメモを見て、都会の雑踏を抜け、2人をトランスジェンダー達が多く暮らす場所へと連れていく。
白昼、街路に立ったり、窓から身を乗り出すトランス女性達に、リアはテクラを知らないかと声をかけるが、アチはろくに通訳もできず、情報は得られない。

客引きに引っ張られて安ホテルに入り、リアとアチは1つ部屋に泊まる事とした。
夜、リアが寝ているところを、アチはホテルを抜け出して職探しに歩き回る。職探しはいつの間にか夜遊びになる。
朝、リアが起きると、アチのベッドはもぬけのから。
リアはひとり街へ出て、テクラの足跡を探して回るが、また無駄足に終わる。
東西の文化・宗教の交差点で、長い歴史を通し、様々な人々・人種が通り過ぎてきたイスタンブールは、属性を消して住むのに好都合な都市で、たいした情報もなくこんな街で人探しをするのは、砂漠に潜った針を探すようなものだ。
ホテルに戻ると、アチが寝ている。
リアは怒り、アチを追い出す。アチは頼りになりそうなNGO団体が見つかったと話すが、その場しのぎのウソとリアは理解した。
途方に暮れるリアは、出ていったアチのベッドの脇に、彼がリアにと貰って帰ったトルコの焼き菓子が置かれているのを見つけて、溜息をつく。

幼いイゼットはその晩スリの疑いで警察所に拘置されていた。
そこへ、トランスジェンダーの弁護士エヴリムがやってきて、彼を救い出す。
今朝アチが言っていた頼りになりそうなNGO団体は「ピンクライフ」と称し、このエヴリムが様々なマイノリティ達のためにリーダーとして働いていた。
エヴリムのカラフルで小さな事務所に、リアとアチ、イゼットとギュルペンベ、「ピンクライフ」の仲間達が集い、テクラについて様々な情報を収集し直した。
それらを基に、リア、アチ、エヴリムは別の街を訪れた、が、テクラはもうここにおらず、既にトルコから出たのではないかとの話がもたらされた。
「イスタンブールは、誰かが来ては消えていく交差点」という言葉をリアは思い出す。
リアは内心諦める事を覚悟し、その晩3人はオープンなレストランで愉しい一夜を過ごす事とする。3人は白濁したアラク酒を呑み、民族楽器を扱う楽団の音楽に合わせ、微笑み、踊った。

翌朝、3人はこれからどうするか、互いの意見を言う、リアはジョージアに帰る、アチはイスタンブールで仕事を見つける、エヴリムには、いつ迄やっても儚いがトランスコミュニティと社会をつなく仕事が待っている。
リアはアチを抱きしめ、そしてフェリー乗り場へと歩いていく。
トルコの古い唄が聞こえてくる、その切なさは遠く離れた極東の私たちの心にも沁みる。
リアはそこで幻を見る…
その内容については、ここでは話さない事にしておく。


監督・脚本・編集 レヴァン・アキン
撮影 リーサビ・フリーデル
編集 エンマ・ラグレリウス(共同)
衣装 リン・エークルンド

出演 ムジア・アラヴリ,ルーカス・カンカヴァ,デニズ・ドゥマンリ

受賞 ベルリン国際映画祭テディ賞審査員特別賞 他

2024年/スウェーデン,デンマーク,フランス,トルコ,ジョージア
 
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