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2026年01月09日11:00

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アントニオ・ガデス舞踊団《カルメン》��

(続き)

・第2幕「だばこ工場」

イスに座った男女全員の手拍子のリズムを、工場の回り続けるラインの音に見立て、リーダー格と見える年長女性が1人抜け出て踊る。
伴奏はギター2本と男性歌手2人。「 」内は歌手が歌うフラメンコの歌詞であって、必ずしもダンサーのセリフとイコールではない点、全編に亘りご留意頂きたい。
「キイチゴの木には近づくな。キイチゴにはトゲがあるからエプロンが破けちまう。
たばこ工場には善良な女も悪い女もいる。ここにいるのは、善良な女より悪い女の方が多い。」
女性は脇にいるカルメンに近寄り、踊りながら指さす。
「(続き)カルメンにはかかわるな。カルメンには気をつけろ。」

カルメンも立ち上がって踊りだす。
「(続き)絡んでくる男のために、彼女はナイフを持っている。」
リーダー格の女性とカルメンは顔を間近に睨み合う。
「(続き)キイチゴには近づくな。(リフレイン)」
2人の女の諍いのデュオ。
両脇では、それぞれの取り巻き連中が騒ぎたてる。
「(続き)勝負だ、行け!」「どっちの踊りがうまい?」
「2人共怒り狂ってる。」「カルメンあと少しだ、いいぞ。」
男達はカホンのように長イスを激しく叩く。

歌は一旦消え、伴奏は手拍子のみとなり、次第に高揚、テンポも上がる。
カルメンは腰からナイフを取り出し、女性リーダーの頬を斬る。
倒れたリーダーの回りに集まる女性工員達。
カルメンはふてぶてしく笑う。

男達の踊りが始まる。その中央に白いシャツのドン・ホセ。
カルメンはナイフを投げ捨てる。
別の男2人、近寄ってカルメンの腕を両方から掴み、中央へ引き立てる。

伴奏に、ギターソロによる哀歌(エレジー)の旋律が忍び込む。
ホセが俺に任せろという表情でカルメンに近づくと、男2人は脇へ去る。
ホセはカルメンの顔を覗き込む。
カルメンは自分のスカーフを外してホセの首に巻き、デュオは艶めかしさを増す。
キスの直前でカルメンは飛び去る。

ダンサーらによって3枚の人間全身サイズの鏡が持ち込まれる。ここは酒場前の広場か。
その前に茫然と立ち尽くすホセ。カルメンの姿や表情が頭から離れない。
歪んだ姿が鏡に映し出される。 

酒場の亭主と見える中年男がホセに注意、あの女には気をつけろとでも言うように。
彼が再び「緑よ」の詩を静かに歌いだす。
「ああ緑よ、私の愛する緑色。(リフレイン)」
カルメンは離れた暗がりで、取り巻きらの中央で踊っている。
「(続き)私は血を流し、カブラの港から来た。もし私が若ければ、約束は守られたろう。
ああ、いとしい緑色。彼女は欄干に寄りかかり、男を想う。
緑の目に黒髪。銀色に光る体。
ああ私のいとしい緑色。(リフレイン)」

鏡の間からするりと入ってくるカルメン、笑ってホセに近づく。
「緑よ」はテンポアップして盛り上がり、次第にリタルダンド、静かに終わる。

夜が更け、鏡の前に残されたホセの苦悩。
ギターはまたあの哀歌(エレジー)を奏でる。
再びカルメンが入ってくる。頭には高さのある伝統的な黒い髪飾り。いたわるような素振りで気を引く。
 暗転。

・第3幕「寝室」

酒場の2階か? ダンサー達がイスを持ち寄ると、急拵えのベッドに。
フラメンコの歌が遠くから聞こえてくる。
「泣いて泣いて泣くばかり、涙が枯れることはない。ああ愛よ、ああ夜よ。」
歌は消え、手拍子もなくなる。カルメンとホセのデュオ。
カルメンは黒い頭飾りをゆっくりと外す。象徴的な行為のように見える。

代わってオペラのオーケストラ伴奏による有名な〈ハバネラ〉が遠くから聞こえてくる。
メゾソプラノの歌。
「恋は野の鳥、飼い慣らせやしない。
いくら呼んでも、気が向かなきゃ来ない。脅してもすかしてもダメ。
おしゃべり男と無口なら、私は無口が好き。黙っていても気に入るの。恋よ、恋よ。」
抱き合う2人。音楽は次第にクレッシェンド。煽情的なカルメンの踊り。
「(続き)恋は放浪児、掟なんか知らない。好いてくれなくても私は好き。
気をつけることね。私があんたを好きになったら、気をつけなさい。」
笑ってホセを招くカルメン。
「(続き)捕まえたはずの鳥も、羽ばたいて逃げてしまう。逃げた恋は待つしかない。
知らぬ間に戻ることもある。飛び回っては忽ち消え、また戻ってくる。
放したくないのに逃げ、こっちが逃げると追ってくる。 恋よ。恋よ。」
カルメン、ホセをベッドに押し倒し…
 暗転。

(続く)
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