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2025年11月18日13:00

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北斎、オークション史上最高額

11/8(土)に開かれたオークションで、葛飾北斎(1760?-1849)の肉筆浮世絵画が6.21億円で競り落とされたとのニュースが話題になった。
北斎作品の落札額としては史上最高額だとの事。従来の最高額は、昨2024年3月、ニューヨーク・クリスティーズにおける《富嶽三十六景》の5.31億円だった。

オークション;東西ニューアートの第1回設立記念公開オークション。
落札者;(株)ニトリホールディングス傘下の小樽芸術村 浮世絵美術館。
旧蔵者;「相場師 福政将軍」と呼ばれ、且つ美術品コレクターだった「福田政之助(1878-?)となっている。

対象作品;葛飾北斎の肉筆浮世絵《雪中美人図》。落款の号は「戴斗」となっている。
制作時期;1813~19(文化10~文政2)年=戴斗と名乗っていた時期。
サイズなど;98.3×34.3cm、絹本着色。

画像;全景
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画像;部分
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吉原の花魁らしき女性が雪の降る中で佇んでいる姿。
保管が良かったのだろう、非常にいい色と状態で残されている。
北斎が愛してよく使った美しい青色は「ベロ藍」と通称されたベルリンで18世紀初頭に開発された顔料で、1747(延享4)年に初めて日本に輸入されたと伝えられる。「プルシアンブルー」とも呼ばれた。
同じ青でも濃淡が巧妙に表現されている。
後年歌川広重もよく使った。

賛;左端「蜀山人」とある。別名 太田南畝(1749-1823)。初期の狂歌号「四方赤良」。
画像;賛部分クローズアップ
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オークションと絵についてはニュース・記事で書かれていたが、賛の内容について触れているものは1つもなかった。
そこで、私は高校時代の部活動の先輩である大高洋司氏(国文学研究資料館名誉教授/専門領域は近世文学)に尋ねると、すぐメールが帰ってきた。
大高氏の著書や講演等についてはこれ迄幾度もレポートしてきた。

さて、賛に何と書かれていたのか、と言うと、

「たをやめの
  あたゝか
  さうに
  見えたるは
 空に
  しられぬ
  雪の
  はたえか
    蜀山人」。

現代語に意訳すると、
「しとやかな女(または花魁)が暖かそうに見えるのは、空に知られない雪のように、(抜ける程)白い肌の(温もりの)せいか」という事になるだろうか。
蜀山人は色彩だけでなく、温度感も表現している。

この歌は、おそらく紀貫之の「桜散る木の下風は寒からで、空に知られぬ雪ぞ降りける」(『拾遺集』より春)を踏まえているに違いない。
 
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