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2025年11月02日14:35

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秋の上京1日目、神楽坂~1

10.28(火)、10:00過ぎのひかりに乗り、昼前には東京に着いた。
大学時代の文学仲間との秋の例会だが、今回は神楽坂で夕食をとるだけの行程となった。
いつも1泊2日であちこち歩き回ったものだが、今回、東京在住の同行者は夕食ののち帰宅する。
5~6人集った事もあったが、最近は人数も2人のみ。少々寂しい。
私は浜松から出かけるので、夕食だけではもったいない。あれこれ観て回る事とし2泊3日の計画を立てた。

せっかくの神楽坂であるから、私は裏手の小路や横丁など、1人で散策する事とした。
9.27(土)放送のNHK総合「ブラタモリ」で神楽坂が特集され、惹かれるものがあった。大学時代も会社時代も、神楽坂は歩いた記憶が殆どない。

先ずはJRの飯田橋駅。
西口を出ると、目の前に牛込見附の立派な石垣が残っている。
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ここは江戸城の外堀、敵の来襲を発見するための東北の門であり、また、神楽坂を超えて上州道へ向かう出口でもあった。
歌川広重(1797-1858)の《東都名所坂つくし》より〈牛込神楽坂之図〉(1840-42頃)。
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現「牛込橋」を渡って坂道を下りると、「外堀通り」との四つ角に「神楽坂下」と表示された入り口があり、ここから神楽坂を上っていく。住所は現在新宿区となっている。
広重の絵は神楽坂側から振り返って江戸城牛込見附を眺めたもの。通りの右側には名物を売っているらしき店が並んでいる。
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坂は一方通行で、午後は坂下から坂上へ、午前は坂上から坂下へと逆転式の一方通行となっている。
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坂下から少し上がって、すぐ左へ入ると「小栗通り」にぶつかり、更に左折すれば東京理科大学の校舎ビルが建ち並ぶ。
その前に泉鏡花旧居跡の看板が立っている。それは北原白秋旧居跡でもある。
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泉鏡花は1899(明治32)年、硯友社の新年会で神楽坂の芸妓 桃太郎(本名伊藤すず)と親しくなり、1903(明治36)年、友人に借金をしてここに家を借り、彼女と同棲する。しかし、師 尾崎紅葉に知られて叱責を受け、すずは鏡花の下を去る。この一件は『婦系図』に生かされ、彼女はお蔦のモデルとなった。
同年紅葉が没すると、鏡花はすずを妻として迎え入れ、1905(明治39)年迄この地に住んだ。
白秋は1907(明治41)年から翌年迄の1年間ここに住み、本郷道坂へと移っていった。のち、この場所にちなんで『物理学校裏』(1913)という詩を残している。

一旦神楽坂に戻り、少し上がってまた左に入ると、これが「見番(けんばん)横丁」である。芸者衆の手配や稽古を行う「見番」が沿道にあるためそう名付けられた。
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横町名の柱の奥にある「東京神楽坂組合稽古場」は残された見番の1つで、見上げていると三味線の音が聞こえてきた。
その手前隣には「伏見火防(ふしみひぶせ)稲荷神社」の小さな社がある。
取り囲む石垣には料亭の名が多数彫り込まれていて、彼らが資金を出し合いこの神社を造営したのだろうと知れる。
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見番横丁から曲がりくねった細い石段を下るとまた小栗通りに出るのだが、その狭い小路の両側にも風情のある料亭が並んでいる。
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石段から見番横丁に戻り、西へ進めば神楽坂袋町に至る。名の通り袋小路の入り組んだ町である。

更に道なりに進むと小さな四つ角に手作り肉まんの専門店「フル・オン・ザ・ヒル」。現在は新宿区中町だが、江戸時代は牛込中御徒町といって、そこに天明期に狂歌を爆発的に流行らせた太田南畝(1749-1823)が56歳になる迄住んでいた。狂歌師としての号は四方赤良(よものあから)。
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道をもう少し行くと、右手に盲目の作曲家・筝曲家であった宮城道雄(1894-1956)記念館があるが、現在は建て替え工事中。入り口には宮城道雄氏略傳碑が立っている。
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文面は友人であった佐藤春夫による。

神楽坂通りに戻り、また坂を上がれば、左に善國寺の赤い山門と社が見えてくる。
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本尊は高さ30cmの毘沙門天像で、「神楽坂の毘沙門さん」と通称される。
1595(文禄4)年、徳川家康の鎮護国家の意を受けて日惺上人が創建した。
阿吽の石像は毘沙門天と縁の深い虎。
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阿吽の石虎は都内では珍しく、新宿区では唯一だとの事。
山門の右手にある石の門を見ると柱の脇に「昭和四十六年五月十二日 児玉誉士夫建之」と彫ってあるので驚いた。
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太平洋戦争中から戦後、軍関係物資で莫大な利益を得、右翼を糾合、大物政治家に資金を提供して「政財界のフィクサー」と呼ばれた人物(1911-84)である。1976年に明るみに出たロッキード事件では、秘密代理人として暗躍していた事が分かった。


(続く)
 
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