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2025年07月23日23:53

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映画『秋が来るとき』~1

7/21(月・祝)、シネマイーラ浜松で『秋が来るとき』を観る。

フォト

フランソワ・オゾン(1967- )の2024年作品。

人は多面的な生きもので、単純には割り切れず、理解しえない事もままある、たとえ家族の間柄であっても。
結局、人は長い年月秘密を胸に生き、そしてそれを抱えて死んでいく。
オゾンの諦観だろうか。

本作には2つの家族が登場する。
1つは80歳のミシェル、娘ヴァレリーとその息子ルカ(小学校の中学年程か)。
ミシェルの夫、つまりヴァレリーの父は大分前に亡くなっているか、また、ミシェルはシングルマザーで結婚はしなかったのかもしれない。
ミシェルはブルゴーニュの片田舎に独居し、時々パリのアパートに住むヴァレリー家族がやってくる。
決着はまだだが、ヴァレリーは夫ロランに離婚を求めていて、進展中である。

もう1つは、同じブルゴーニュに住むマリー=クロード。ミシェルの永い親友で歳は少し下だと思われる。
マリー=クロードも、夫はとうに死んでいない。彼女によれば、息子の養育費を送ってくれるだけの存在だった。
息子ヴァンサンは刑務所で服役中。罪状も服役期間も映画の中で示されない。
始まって少しでヴァンサンは仮釈放となり、マリー=クロードはミシェルに運転してもらって刑務所に迎えに行く。ミシェルも古くからヴァンサンをよく知っている。
ミシェルは、笑顔で刑務所から出てきた。

家族を紹介するため先走ったが、出所前の事、娘ヴァレリーとその子ルカがミシェルの家にやってくる事になった。秋の休暇をここで過ごすためだ。
ミシェルは孫のルカが大好きだが、娘とは永くうまくいっていない。そのせいで、ここにやってくるのも久しぶりだ。

ミシェルは2人をもてなすため、家庭菜園の野菜を収穫し、マリー=クロードと一緒に近くの森へキノコ採りに行く。マリー=クロードはキノコに詳しい。

予定よりだいぶ遅れて到着した娘と孫。嬉しそうに抱きつくルカに対し、ヴァレリーはいらいらし神経質そうな表情。
3人は遅い昼食をとった。
ミシェルは話題として、ヴァンサンの出所予定を娘に知らせた。すると、彼女は言下に、あいつはまた何かしでかすに違いない。
ヴァレリーとヴァンサンは近い年齢かと想像される。

食事を終え、ミシェルとルカは森へと散歩に出かけた。
途中でミシェルのスマホに電話が入る、ヴァレリーが倒れ、救急搬送される、と。
病院に担ぎ込まれ、原因はキノコだと知らされた。胃の洗浄をしたから、命に別状はないとの事。
昼食で、ミシェルとルカはキノコの手料理を食べなかった事を思い出す。

回復してヴァレリーはミシェルの家に戻る。
そして、「私を殺すつもりだったの?」とミシェルにきつい言葉を投げかけ、もうルカには合わせない、そう言ってバタバタとパリへ帰ってしまった。
ショックを受けるミシェル。楽しい筈の休暇はオジャンになった。

マリー=クロードは後日言った、採ったキノコは全部私が改めたらよかった。

ヴァンサンの出所はこのあとの事である。
マリー=クロードは、迎えの車中でミシェルに言う、出所は嬉しいが、また何かするんじゃないか心配で、と。
すぐ仕事に就かせるのがいいと思うが、周囲の偏見もあるので、同じ村より違う所で働かせた方がいい気がする、とも。

出所したヴァンサンはミシェルの車の後部座席に座る。顔色も良く元気そうだ。
ミシェルは、これからお金も要るでしょう、仕事は心当たりがあるの?と訊く。
なければ、家に仕事はたくさんあるわ、と、庭と畑の仕事その他を頼み、賃金も提示、話は折り合いがつく。

翌日からヴァンサンはミシェルの家にやってくる。てきぱきとこなすので、ミシェルは彼の仕事ぶりに驚き、満足した。

ミシェルは、先日の娘とのやりとりを思い出しては暗い気持ちになる。
そして、ルカの幼い頃のおもちゃの類を箱に詰め、倉庫にいたヴァンサンの前に置いた、始末して頂戴と。
ヴァンサンは反対するが、もう見るのもつらいからとミシェル。
しばらくして倉庫の中を覗くと、ヴァンサンは、壊れかけたおもちゃを直していた。
ミシェルは、その姿を入り口の陰から見ていた。
映画での説明はないが、ヴァンサンの心根の優しさが身に沁みた。

ある日、ヴァンサンはミシェルの家に行かず、電車でパリに出かけた、途中でヴァレリーに会うためだという事が分かる。
このアパートは、昔パリにいた当時ミシェルが持っていたもので、先頃、ヴァレリーに乞われて贈与したものだ。
ヴァレリーは離婚を前にし、最近は、母に金銭の無心だけでなく、ブルゴーニュの家の贈与も口に出している、ルカの将来のためと言って。
ヴァンサンが、オートロックのアパートの入り口で困っていると、中から少年が出てきた。
その瞬間にヴァンサンはするりと中に入った。
遠距離からの撮影でよく見えなかったが、その時出てきた少年はルカだった事があとから分かる。

ヴァンサンが部屋のドアを叩くとヴァレリーが顔を出した。最初は誰か分からなかったようだが、ヴァンサンだと理解し、中に入れた。表情は、一体何をしにきたんだろう?という面持ちである。
ヴァンサンは、ミシェルのためを思ってヴァレリーを諫めにきたのだった。
ヴァレリーは眉をひそめて訊く、ミシェルに頼まれてきたの?
否定するヴァンサンに、ヴァレリーは、あなたには関係ない事、私が母のせいでこれ迄どんなに辛い目に遭ってきたか知らないでしょうと語気を強めて言った。その訳はあとで分かる。
気を鎮めるため、ヴァレリーは窓を開けバルコニーに出ていく。ヴァンサンもそれを追ってバルコニーに出る。
このシーンは、ここでカット。

ブルゴーニュのマリー=クロードの家。
遅くにヴァンサンが帰ってくる。
ミシェルからおまえが来ないがどうしたのか電話があったと言うと、ヴァンサンは落ち着かない顔で切れ切れに答える、…パリに行ってきた、…ヴァレリーに会った、…落ちた。
問い直すと、「落ちた」のはヴァレリーだと知れた。「落とした」ではない。
実態が読めないのは観客だけではない、動揺するマリー・クロード。
ヴァンサンは仮出所中の身である、疑われれば元の黙阿弥だ。

警察の捜査が始まる。
女性警部がミシェルに事情聴取する。
ミシェルは隠す事なく話す。
私は過去、パリで娼婦だった。その事をヴァレリーは知って、母娘関係は悪かった。娘は周囲からその事で虐められ、神経を病んで病因にも通っていた。今は離婚協議中である。

(続く)
 
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