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2025年07月13日12:02

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加藤訓子スティーヴ・ライヒを弾く~1

7/9(水)のNHK-BS「クラシック倶楽部」はミニマル・ミュージックの先駆者スティーヴ・ライヒ(1936- )の特集「REICH 85〜Kumiko Kato plays Steve Reich」。
日本を代表するライヒ・パーカッショニスト加藤訓子が、ライヒ85歳を記念して演奏、しかも、独特なスタイルで!

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スマホでTV画面を撮影したものなので粒子の粗い画像になっているのはやむを得ない。

どう独特だったかはあとで触れるとして、まずはプログラム。

1.《シックス・マリンバ カウンターポイント》(*1) (1986)
2.《ピアノ・フェイズ》(*2) (1967)
3.《ニューヨーク・カウンターポイント》(1985)
4.《ヴァーモント・カウンターポイント》(1982)

 (*1)「カウンターポイント」は「対位法」。
 (*2)「フェイズ」は「位相」。

プログラムは全て加藤訓子の編曲による。

1.のオリジナルは、タイトルで分かる通り6台のマリンバのための曲だが、加藤はこれをソロ・マリンバと、自身の演奏による5パートのマリンバの事前収録(pre-recorded)と伴に合奏したのである。

巧い編集で、こんなシーンもあった。

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6人が両手に2本ずつマレットを持っているので、計算上は24の声部を一度に演奏できる。

2.は1967年発表の初期作品。
オリジナルは2台のピアノ(またはマリンバ)のために作曲された。
2つの同じフレーズを同時に演奏開始、片方の速度を僅かに変化させる事でフェイズ(位相)のズレを敢えて起こし、その動きを時間経過の中で追い駆けていく。それを「フェイズ・シフティング」とライヒは名付けた。
音楽がズレていく時は誠に気持ちが悪い。逆に、ズレていたものがぴったりと合う時のカタルシス。

作曲家自身の編曲によるマリンバ版は、ピアノ原曲のあとに書かれているが、加藤はこれをヴィブラフォンで演奏したいと考え、ライヒに直接相談した。ライヒと加藤は長く懇意の関係らしい。
ライヒからは、この曲でヴィブラフォンがどんな効果を生むか分からないからデモを送ってくれ、と。
加藤は、ピアノ譜にはスタッカートがついているし、また、マリンバ版が存在する事から、マリンバの性格を考え、ヴィブラフォンで演奏する場合はノン・ペダル(*3)でやろうと思っていた。
 (*3)ヴィブラフォンは足下に1本ダンパーペダルを持つ。
ノン・ペダルのデモ音源をライヒに聴いてもらったところ、意外にも、音楽がデッドに過ぎる、ペダルを使ってみてくれとの応答。
ピアノ譜にスタッカートはついていても、ライヒはホールの響きを含めて音楽を構想していたのだなと加藤は理解した。無論、ピアノという巨大な楽器の特性もあるだろう。

さて、ペダルを使えと言っても、鳴らしっぱなしでは和声が混濁してしまう。どんな風にペダルを使うべきか?
加藤に言わせると、ヴィブラフォンというのは完成度の高い楽器ではない。
見ていると分かるが、ペダルを踏んだところを真横から見ると、前後2列の全鍵盤が一度にへの字形に盛り上がるような動きをする。元々水平に設置された鍵盤が前後2列で角度が変わってしまったら、(素人目には)如何にも弾きにくそうな気がする。
加藤はペダリングに加えフェルトも様々にトライ、何度も弾きなおし、聴きなおし、1つ1つのスタッカートのあとに残る響き(余韻)を意識して、15分間、左足でペダルを細かく踏み直しつづける事にし、ライヒの了解を得て演奏した。
音楽以前に、運動としてかなり大変そうに推察されるが、演奏中の加藤の表情に変化は見られなかった。

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後ろの壁に映っているのが加藤自身のpre-recordedの映像。

ヴィブラフォンのliveソロとpre-recordedによるこの演奏は、放送による世界初演となった。

(続く)
 
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