(続き)
[Act 2.]
暗い舞台。
床から大きな男女の顔の写真は消えてなくなり、鏡のような仕上げとなっている。
積み上げたボックスも鏡面貼りとなっている。
鏡はオートセクシャリティをくすぐるツールらしい。
ダンサーらは男女共皆サングラスをかけ厚底のハーフブーツをはいている。
手足は柔らかさのない、痙攣のような勝手な動き。
陰鬱な低音が流れる。
ダンサー達はひと所に集まり始め、1人1人我先にと前に出ようとする。
互いに邪魔だと言わんばかりの態度。
塊はバラけ、男女は厚底ブーツで床に映る自分を踏みつける。
意味の分からない独り言がぶつぶつとあちこちから聞こえる。
急に大きな声がして、男女はステージ最前に集まる。
それぞれ何か分からないが客席に向かって話しかける。しかし会話にならない。
突然卒倒する人。次々、ばたばたと床に倒れだす。
男が赤いハンマーをケースから持ち出し、後方を静かに歩きだす。
背景に男の顔の拡大映像。
1人の女が口紅をべったりと塗り付けている。
映像の男は舌を出し床を舐めているようにも見えるし、自身と舐め合っているようにも見える。
破壊的な音響。
スクリーンを上げると、背後から毛足の長い青と白のコートをまとった男女が踊りながら現れる。
突然軽薄なクラブ音楽に変り、司会の男が大声を出してショーが始まる。
たくさんのスポットライトが絡み合いつつ動き回る。
司会は客席にもっと盛り上がって!と叫ぶ。
ダンサーらは耳からマイクを垂らしていて、拡声された猥雑な声はホールに満ちる。
手には、段ボールの大型ピストル、注射器、シャネルの香水瓶。これ見よがしに中指を立てる男女もいる。
移動カメラは、それらの間をすり抜けながらショーの様子を撮影する。
こんなにダンサー達がしゃべりまくる舞踊公演は初めて目にする。
スポットライトが消え、エネルギーが減衰、音楽とダンスもスローダウン。
青と白のコートの男女は消え、ショーも終る。
残された2人の男がぴったり寄り添って踊り続ける。
口紅の女は満足げにスマホで自撮りしながら舞台を這い回り続ける。
(続く)
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