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2024年07月07日20:38

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《2024静岡1》ありがとう、ミス・ブランチ

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もう、その”資格”は得ただろう。
倉俣史郎を知り、そして詳しく追いかけるようになってから、それほどの時間を要したわけではない。
根底は《美しいもの》を追い掛けるという信念ペンギン
東京アートフェアで出会った先生からのレコメンドを受けて、駒込のギャラリーで彼の功績を知る。実はアーティゾンで出会えたわけだし、あの頃の彼女ならブリヂストンの8階から9階でコレクションに触れていたのかもしれない。
駒沢辺りの家具屋、武蔵野美術大学、富山県美術館、大阪中之島美術館、和歌山県立美術館。そして、MOMAを経て、いよいよ香港M+飛行機
世田谷美術館で近藤先生と直接対峙して、日曜美術館を3度も見返して、満を持して静岡。
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KURITAで職人の天盛りを食して、いざ伝馬町走る人
スマホマップでは見つからないほどの雑居ビル。脇の階段に灯る《CoMbLe》のサイネージ。一見様を遮断するような重厚な木製ドア家
意を決して開けてみると、オーナー曰く「タイムトンネル」が迎えてくれる。
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あらゆるインテリアや意匠が、憧憬のクラマタデザインいす
感動に溢れて声が出ない。
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日曜美術館では控えめなインタビュイーだった店長が、ある時間から饒舌になり、それでいて(川崎オスカーのような)自慢話を声高に吹聴するでもなく、本物のクラマタ愛を朴訥に語り出した。

オープンよりも1分前に訪ねたのだから、当たり前のように貸切だったけれど、奥のテーブルでメニューを眺めていたら、すぐに一人の女性が3つ手前のテーブルについた。
メニューの決まらない、というよりも、このようなバーには圧倒的に不釣り合いのゲストなのだから、何をしていいのかも分からない。
店長はまるでそれを知っているかのように、あとからやってきた婦人からのオーダーを受け取っていた。

降参。
これは、店長にお任せしてしまおう。
蟹座「まったくアルコールは飲めないけれど、この雰囲気を大切にしたい」という難しいリクエストでシェイクされたカクテルワイングラス
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『チャイナブルー』台風
この場に似合わない男だというのは分かっている。それでも、ここにやってくる必然性があった。

しばらくして、婦人がチェックを終えて去っていく。
店長曰く「新幹線の時間があるようです」。
なるほど、彼女もまた、クラマタデザインを訪ねてやってきた。
そして、また貸切の空間が作られた。

すでに自己紹介は済ませてある。つまりは《M+へ行って”きよ友”に触れてきた》というアドバンテージ。店長の顔に笑みが浮かんでいた。
犬「週末なんだけど、誰もお客さんがやってこないから」をイントロに、いよいよ店長のコンブレ今昔物語を語り出した。
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資料では1988年とあるけれど、店がオープンしたのは1989年2月。
すでに飲食関係で働いていた彼が、雇われ店長としてオープンから任せられた。
デザイン設計の段階から関わっていたという。

饒舌ではないが、次々に出てくる逸話が驚くことばかり。
バブル時代で一度、この店は人手に渡り、品のないレストランへと業態変化がされていたこと。このレストランはバブル終焉とともに、わずか1年半程度でクローズ。
いよいよ、クラマタデザインのレストランが破壊の危機を迎える。
犬「当時のオーナーに、どうせ人出に渡すなら、私に売ってくれ」とお願いして、どうにかこの店を手に入れた。
蟹座「では、店長はオーナーなんですか?」
彼は、ほんの少し照れたように、それでも確実にうなずいた。

インカウンターや倉庫の中から、次々と秘蔵のコレクションを取り出してきて、つい先ほど倉俣史郎ファンになったばかりの県外者に紹介してくれる。
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犬「これが1989年2月オープン当時のインビテーションカードチケット」
倉俣史郎がスケッチしたスツールとドアのデザインがマークされている。
犬「もう使わないから、差し上げます」
蟹座「えっ?」
恥ずかしい話、差し上げると言われた途端、脳裏に浮かんだのは「どれだけの価値があるんだろう」。しかし、そんなはしたなさも、すぐに消し去り、オーナーの申し出をありがたく受けていた。
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たくさんのコースターもいただいた。まるでこの日が閉店日のようだけれども、まだまだ日本唯一のクラマタ設計を守っていくそうだ。
秋には静岡市美術館で小さなアーカイブ展も企画されているという。

アルコールを嗜むことのできない自分が2時間。
オーナーに通じたクラマタ愛。
ミスブランチの収蔵場所を掛け合いで答えあっていた。
犬「ヒデ。中田英寿が持ってるはずですよサッカー」
サービスされたメッセージプレートのアイスクリームが溶け出すまで、設計の青図を1枚1枚解説してくれた。
何もかもが美しい。すべてが美しい。
一体、この感謝をどう伝えればいいのだろうペンギン
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週末だというのに、おひとり様婦人が去ってから、結局、1人の新規客も入ってこなかった。

これには後日談がある。
犬「彼女こそミス・ブランチ。チェックをした時にこう告げて出て行かれたんです。”ここに今日の売上分を置いていくから、ドアにCLOSEボードを掛けていくわね”」
蟹座「はて?」
犬「先客がどれほどの倉俣史郎ファンなのかを、彼女はすぐに覚ったようです。つまり、”丹那トンネルを超えてわざわざやってきた真のクラマタファンのために、オーナー、たくさん語ってあげてくださいね”、という贈りものです。つまり、今夜はいつまで経っても貸切なんですワイングラス」
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トイレに行っている間にチェックも済まされていた。
世界最高のホスピタリティペンギン
オーナーに最大限の御礼を伝え、ドアを開けて熱帯夜の街へと踏み出した。
振り返ってドアを見たら《CLOSE》のウッドボードが掛かっていた。
夢のような時間を与えてくれたミス・ブランチ。
新幹線ではない。欲望という名の電車で天空へと帰られた。
奇譚。



■【速報】静岡市 全国で今年初の気温40℃以上 酷暑日に
(日本気象協会 - 07月07日 13:30)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=174&from=diary&id=7930571

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