2023年12月22日(金)
『PERFECT DAYS』(2023年)
監督:ビム・ベンダース
名駅・ミッドランドスクエアシネマ2
平山はトイレの清掃員、無口な中年男。
浅草やスカイツリーのすぐ近く、6畳と4畳半の二間に台所とせまい納戸に台所がついた古い木造アパートにひとりで住んでいる。
彼が受け持つのは渋谷に点在する奇妙なデザインをした公衆トイレ。
早朝、近所の人が道ばたを清掃する竹ぼうきの音で目をさまし、歯を磨き、缶コーヒーひとつを手にして通勤用の車にのり、カセットテープに入った古い洋楽を聴きながら渋谷をめざす。
仕事が終わると銭湯に入り、浅草駅の地下にある焼きそばメインの居酒屋で夕食をとり、寝床で文庫本をひらく。休みになると古本屋で100円の文庫を買い、ときには馴染みのスナックで歌上手のママさんの顔を見るのが楽しみだ。
そんな日々を繰り返しながら、市井の片隅でひっそりと生きている男ではあるが、ときおりさざ波が立つような出来事が起こることもあり、たとえば・・・・
よかったです。
最初は殺風景にしか見えなかった平山の部屋が、しだいにいろいろなものが見えてくるといった撮り方が、ほんとうにうまい。
ビム・ベンダースという外国人の目を通したおかげかもしれないが、早朝の東京がきれいだ。
ドラマらしいところなど何もないが、ときおり、なんともいえない感情が湧き上がってくる瞬間がある。
大上段な映画ではないが、好きな映画だ。
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