２０２３年１０月２７日（金）
『シン・ゴジラ オルソ』（２０１６年）
総監督：庵野秀明 監督：樋口真嗣 准監督：尾辻克��
名駅・ミッドランドスクエアシネマ
２０１６年の大ヒット作『シン・ゴジラ』のモノクロ版。
来る１１月３日公開のゴジラ映画最新作『ゴジラ−１.０』にあわせての特別上映。
上映前に最新作の監督・山崎貴と本作総監督・庵野秀明による対談のライブ中継が付いていた。
『シン・ゴジラ』を見るのは２回目。前回はもちろんカラー版だ。
正直、モノクロ版のほうがよかった。
対談で山崎監督が、モノクロ版の夜のシーンが恐ろしい、と話してた。
確かに夜のシーンでのゴジラがまことに禍々しい。
庵野監督は、『ゴジラ−１.０』は敗戦直後のニッポンが舞台なので、『シン・ゴジラ』よりもモノクロとの親和性が高いはずと語っていたが、その通りだろう。
というか、来年の正月映画の第二弾としてモノクロ版の『ゴジラ−１.０』をすでに用意してるような気がしてならない。
７年前に初めて見たときは、久しぶりの国産ゴジラ映画に浮かれていたのと、政治的な味付けが新鮮で面白かった。
再見すると、本作が政治的な味付けどころか、東日本大震災とそれにともなう原発事故下での政治や行政の問題をあぶり出した物語であることを、いまになってようやく気づいた。
こまかいところでも初見のときは気づかなかったことが見えてくる。
岡本喜八監督が写真で登場したのは分かっていたが、ドキュメンタリー映画の原一男監督がセリフのある役で出演していたのにはビックリ。
とにかく、ちょい役で斎藤工や片桐はいりが出てきたり、元気な大杉漣がいたりして、なんと贅沢な映画だったのだろうとため息が出る。
そんな中、今回いちばん印象的だったのが平泉成だった。
平泉成扮する農林大臣はゴジラの襲撃によって総理を含めほとんどの閣僚が死亡したため、やむなく総理大臣代理を務めることになる。
大物感のまったくない昼行灯みたいな人物ながら、じつは・・・・という役。
たとえるなら『椿三十郎』で伊藤雄之助が演じていた城代家老だ。
出番こそすくないが、これがもう、いぶし銀。
カラーからモノクロになり、色数が減ったとしても、こういうやたらと情報量の多い映画は、二度見ても新しい発見があるものだ。
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