礒崎新にして「都会の五大粗大ごみ」と言わしめた建造物の1つ、東京都現代美術館MET
今日もカタツムリが迎えてくれる
確かにアクセスも最悪だし、館内動線もほめられたものではない
柳沢孝彦の精魂込めた大作は、一時、閉鎖の噂さえフェイクニュースで流されたほど、美術館としての芸術性を喪っていた。
サンクンガーデンのほの暗さが、まるで暗い過去を物語っているかのように。
コレクション費用すら枯渇して、美術館本来の「蒐集所蔵」が難しくなった時期。
経営立て直しのために、美術館管理を日本テレビに任せた途端、現代美術館は”日本テレビアーカイブ”のような雰囲気に一変。試しに開催してみた『ピクサー展』が大当たりをしたことで、美術館の存在価値が見直されたという、あまりにも皮肉のきつい結果をみたのも懐かしい。多分、2011年夏の日記を紐解けば、そんなことが書かれているだろう。
やがて、日本テレビも「本来の美術館としての立ち位置」を見失い、追われるように経営監視からの後退。
まるで高松市体育館のような巨大建造物、つまりは『粗大ごみ』だけが公園の片隅に遺された。
屋外展示物であるマルタ・パンの名作にまで『No Photo』とする、そのセンスがこの美術館のイメージ。つまりは公務員経営の悪弊が、突き抜けている。
やがて、舛添ハゲ要一知事のツルツルの一声で3年間に及ぶ大改修が実施され、使い勝手のいいMOTへと生まれ変わり、現在に至る。
オリジナルを設計した柳沢孝彦。
彼の作った美術館が大規模改修を加えられるのは、ここが初めてではない。
熱海MOA美術館でさえ、杉本博司と新素材研究所からの大幅な手が加えられて、誰もいない無人の美術館から、熱海有数のインスタ蠅スポットに生まれ変わり、今や若者たちのパワースポットとして君臨しているのは、誰もが知る事実。(←誰も知らない)
建築家のラストディスティネーションともいえる美術館建築が、他人によってリニューアルされる屈辱。柳沢氏がMOTやMOA大規模改修中の2017年に亡くなられたのも、抱えていた病気だけが要因とはいえまい。
このままだと、遠くは郡山市立美術館の存在すら危うい。早く行かねば
一通り美術館周りの屋外展示やサンクンガーデンを覗いて、ようやくのミュージアム。
『デイヴィッド・ホックニー展』(東京都現代美術館)★5.
前情報では『ガウディ展』とともに、大混雑上等の美術展。
自分とホックニーとの出会い。きっと、この美術館にやってくるたびに、コレクションの何枚か、或いは十数枚かを鑑賞していたのだろう。
特に『スプリンクラー』や『プール』の作品群のイメージが強く残っている。
大量に彼の作品を目の当たりにしたのは昨夏のニューヨーク。
記憶の玉手箱によれば《ニューミュージアム》や《ホイットニー美術館》は、エドワード・ホッパーよりもたくさんのホックニーが集められていた
もう1つ、印象的な記憶がこれ。
今春に訪ねたKURKKU FIELDS。
関係者以外入ることのできないBLACK棟で、貸切で拝見させていただいた『Lithographic Water Made of Lines, Crayon and Two Blue Washes』
エディションを控えていなかったけれど、展覧会ではエディション�爾瞭浦酩覆�掲示されていた。
作家としてデビューした当初から同性愛者であることをカミングアウトしていたから、若かりし時代の作品ディテールは男性への愛。
スケッチされた隣に書かれていたポエム。
英語読みしてみると、カジノで勝った60ポンドを、彼はどうしたのか。これが気になった。
翻訳ソフトを使ってその場で日本語訳へと変換。決して、英語が読めないのではなく、間違いがないかのダブルチェック。としておこう。
セキュリティスタッフに「撮影禁止」なんて注意されるかと思ったが、鑑賞のS級としてすでにMOTにも知れ渡っていたらしい。
1ミリのお咎めもなく、悠々と鑑賞を続けていく。
『三番目のラブペインティング』
ホックニー初期作品で気になった1枚。
キャプションには「男性愛をイメージさせる作品で、同性愛を禁じているロンドンで問題となった」とある。
おそらく中央下方の円柱が男性器なのだろうけれど、ほかに男性愛を感じるモティーフが入ってこない。そんな自分勝手な疑問を解き明かそうと、お陰さまで何度も何度も作品を眺めていた。芸術鑑賞の至福な時間。
2階展示室には同様のモティーフ作品が、資料冊子として展示されている。
テート展にはやってこないのか。(←やってこない)
自らが「世界で一番愛しているのはピカソ」と公言するほど、ピカソに傾倒したホックニー。
見事なピカソオマージュコレクションが壁いっぱいに並べられている。圧巻。
美しい積み藁のメインビジュアルは、やがて目にする90メートル大作の一部
3階展示室を2周。そして、2階資料室を駆け足で巡り、いよいよインスタ蠅で溢れていると思しき1階展示室。
あれ、インスタ蠅、いないじゃん。
特に中国からの団体客がやってきたら、この環境は作れない。
展示室内、10名にも満たない邦人や西洋人観客がお互いに譲り合いながら、大作『THE ARRIVAL OF SPRING IN WOLDGATE, EAST YORKSHIRE IN 2011』をスマホに収めている。
両脇、正面には合計12枚のiPod作品。
油彩の『ARRIVAL OF SPRING IN WOLDGATE』とは大きく異なり、マチエールの喪った版画的作品。迫力には大きく欠けるが、80歳の仕事としては尊敬すべき大作。
ラストコーナー。
週末のナイトミュージアム。
ちょうど、夕飯の用意をする主婦たちと、アフターファイブに訪れるOLちゃんたちのはざま。16時〜18時の鑑賞時間は、ホックニー大混雑の前情報がウソのような鑑賞環境。許されるのなら、ずっとここに佇んでいたい。
四季のないイギリスではあるけれど、それぞれの花木が季節を物語っていた。
花木の名前は知らないけれど、ゴッホがモティーフにしていた「アーモンド」や「アザミ」なんかが目に留まる。間違っていたとしても、そんな鑑賞方法が自由でいい。
1階を2周。
ふたたび3階へあがり、やや混雑を催してきた展示室を3周回目。
途中退館ができないルールゆえ、都合2時間30分。
夏休みの宿題だったホックニー修了
やがて、ゆったりとコレクション展へと流れていくけれど、それはまた、別の話。
(つづく)
■そうめんも水着も高い! 「夏休み物価指数」が急上昇で家計に打撃
(朝日新聞デジタル - 08月19日 12:29)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=7530616
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