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2023年04月01日22:56

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本●「ニッポン旅みやげ」

本●「ニッポン旅みやげ」(青土社)
池内紀・著

読了。

ドイツ文学者の池内紀(おさむ)が日本各地をひとり旅、ブラブラと歩きながら、そこで出くわした見聞を綴った1冊。
似たように、旅先の町歩きがメインの紀行文ということでは、川本三郎や関川夏央がいて、どちらも何冊か読んでいる。
しかし、川本三郎には必ず映画の話題が添えられ、関川夏央は鉄道話がついてくる。
映画と鉄道、どちらも好きなので、読むのに苦労しない。
ところが、池内紀になると映画や鉄道の話などほとんどないので、どうもとっつきにくい。
宮城県の白石市で存在する「据置郵便貯金碑」を前にちょっとした郷土の歴史を語り、指宿温泉で見かけたユースホステルの廃墟に青春時代を回想するといった文章が淡々と続くだけだった。
正直、あまり面白くないなあ、と思っていたのだが、読み進んでいくと、ああ確かに旅に出ると、私にとってはまったく馴染みがないが、地元では誰もが知ってるような偉人の顕彰碑なんかがあって、ついつい碑に彫られた履歴や業績を読んでしまうことがある。
最近では和歌山県の新宮市で、町中に「大逆事件の犠牲者顕彰碑」というのがあってびっくりした。
たしかに、旅行の目的地そのものより、道中のちょっとしたことが、じつは旅のみやげなのだろう。
紀行文の出来のよしあしは、読んで書かれたところへ行きたくなるかどうかだ。
本書では、有松や豊橋や関といった近場が紹介されている。
いずれもちゃんと歩いたことがないので、行きたくなってしまった。



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