映画日記『ＳＨＥ ＳＡＩＤ シー・セッド　その名を暴け』

２０２３年１月１３日（金）

『ＳＨＥ ＳＡＩＤ シー・セッド　その名を暴け』（２０２３年）
監督：マリア・シュラーダー
伏見・ミリオン座

長年にわたって大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインが繰り返してきた女優や女性スタッフへのセクハラ・パワハラ・性的暴行を、ふたりの女性記者が地道な調査によって暴いていく・・・・

事件の結末についてはニュースで知っていたが、そこに至るまでの経緯と、記者や告発に
踏み切った被害者たちの葛藤について、初めて知ることになる。
知るといっても、あくまで事件全体の一端だろうが。
キャリー・マリガンとゾーイ・カザン扮するふたりの女性記者はともに亭主持ちで、ふたりとも幼い女の子の母親だ。
記者だけでなく、被害者のひとりで、乳房の全摘手術を受ける女性にも娘たちがいる。
スクリーンには、さまざまな組合わせで、母親と娘のシーンが繰り返し登場する。
それらのシーンに、今は小さな娘たちが大人になる頃には、セクハラや性被害といった愚かしい所業がなくなっている世界を自分たちの手で作っていこうという、監督や女優たち、いわば母親世代の強いメッセージを感じた。

力作。