映画日記『非常宣言』

２０２３年１月７日（土）

『非常宣言』（２０２３年）
監督：ハン・ジェリム
名駅・ミッドランドスクエアシネマ２

一見するとイケメンながら、その言動はネチネチとしてめちゃめちゃ胸くそ悪いアンチャンが、ホノルル行きの旅客機に乗り込んだ。
いっぽうソウルの中年刑事が、子どもの噂を元に乗り込んだマンションの一室で、奇っ怪な死体を発見した。
この二つの出来事が、やがて韓国の世論を二分し、アメリカと日本を巻き込む大騒動へと発展していく・・・・

韓国発アクション＆スリラー＆サスペンス＆ポリティカルと、トッピングを全部のっけたパニック映画。
望遠撮影や影をうまく使い、サスペンスを盛り上げていく序盤は良かったものの、後半は大味になってしまった。
大味といっても、『ポセイドン・アドベンチャー』の空中版みたいなシーンは拍手ものだし、コロナ禍を想起させつつ、見る者に究極の選択を迫る展開に、韓国映画の底力を感じる
ただし、「燃料あるなし問題」にはどうしても首をかしげてしまう。
日本というか、自衛隊がいわば悪役で登場する。
日本だけでなく、アメリカにも色々と配慮したようなセリフが出てくるし、韓国国内も分裂していると描いている。
しかし、戦闘機を操縦する自衛隊員の、顔の見えない黒いフェイスマスクの映像は意図的だ。
現在の韓国の大衆というか、少なくとも大衆向けの娯楽映画の製作者たちは、日本の自衛隊に少々疑惑の目を向けているような気がした。