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2022年11月20日21:07

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映画日記『宮松と山下』

2022年11月19日(土)

『宮松と山下』(2022年)
監督:関友太郎 平瀬謙太朗 佐藤雅彦
伏見・ミリオン座

京都で映画のエキストラとロープウェイ乗り場の係員をしながら、ひとりでつましく生きている男が主人公。彼の名は宮松。
ある日、撮影をしていた宮松のもとに来客者があった。
宮松の前に現われた見知らぬ中年男が彼に言う。
「お前、山下だろう?」

まるで三隅研次が撮った時代劇みたいなオープニングから見入ってしまう。
主人公が映画のエキストラということで、現実のシーンと撮影シーンとが騙し絵みたいに入り組むところが見どころ。ほんとうに何度も騙された。
宮松と山下、ふたつの人生を生きることになった男の物語ということで、『ある男』と重なる。
今年の初めに見た『さがす』も他人への成りすましがモチーフになっていた。
これは偶然だろうか。

長引くコロナ禍、マスク生活になれてしまい他人の顔がよく分からなければ、自分の顔を他人にさらすのが億劫だ。
顔を見せることがなければ、名前だってどうでもいい。
本名よりもハンドルネームで違う自分に成りすまし。
経済的にも落日の日本で、本名を名乗りドヤ顔できるのは、厚顔無恥な政治家だけだろう。
小林信彦が言ってたが、たしかに映画はその時代の申し子だ。

宮松と山下を演じる香川照之を徹底的に楽しむ1本。
私生活がどうであれ、うまい役者だ。
とある撮影現場での香川照之と諏訪太郎の掛け合いが絶品だった。



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