晩年のゴッホが描いた夕焼けのような羽田空港を飛び出して、今年100度目となる四国へとたどり着く
素泊まりでお安い温泉ホテルへチェックイン。1泊0食5,000円
夕に朝に大きな温泉に入れて、ふとんの上で眠れればそれでいい。
大枚1,000円札を5枚、フロントへ渡そうとすると、

「今日から始まった”かがわ割り”使えますよ

」
フロントが弾き出した宿泊費は4割引きの3,000円。
千円札2枚を引っ込めて、シメシメとほくそ笑んでいると、

「ワクチンチン3回、打ってますよね」と聞いてくる。
3回どころか、可能なら毎日だって打っていたい。
アメリカ旅行で使った接種証明アプリを提出すると、1,000円のクーポン3枚をいただいた。
IQ180の脳内コンピューターが微分積分して弾き出す。
(3,000円-3,000円=…)タダじゃん。

「はい、タダなんです

」
やるな、岸田。
瓦町から11号線のメイン道路へ抜けると、銀行の屋上に見慣れた銀色のネコ
ヤノベケンジじゃん。
船の時間まで余裕があったので、銀行隣のアートなホテルへ(宿泊もしないのに)入り込んだ。
ロビーにヤノベケンジやヤノベケンジの弟子たちの制作集団《モフモフコレクティブ》の作品が並んでいる。
フロントのおねえさんに「泊まらないけど見てもいいかな」と許しを請う。
もろちん「いいとも!左手のレストランにも作品がありますよ。ゆっくりご覧ください」と、大歓迎。いいホテルなので、次回使おう。
アートとうどんの県・香川。
ロビーで作品を鑑賞していると、後ろに近づいていたおねえさんが、

「あの…よろしかったら解説しましょうか」なんて、会話を求めてきた。
ありがたいことだ。

「わたしは、このケダマちゃんが好きなんですよ」と、まるで美術館デート気分。
アートホテルとしても、アーティストルームなども用意しているらしい。

「アーティストルームは瀬戸芸の最終日までの期限付きなんです。終わったら、普通の部屋になるはずです」
残念。11月6日までの瀬戸芸に再びやってくる予定がない。

「また、来ることがあるので、その時はメールで情報くださいね」

「このあとはどちらへ?」

「船に乗って自分を探してきます

」

「直島に新しくできたホテルに泊まりたいんですよ」

「あっ、8月に行ってきたよ

」

「え〜、いいなぁ〜」
昔からの友だちか。
そんな会話を楽しんでいたら、バックルームからもう1人のおねえちゃんがやってきた。
やばい。おねえさん1号のフロント不在時間が長いし、会話の声はでかいし、絶対に叱られそうだ。

「ヤノベさんは鎌倉や京都のホテルにもあるんですよ」
えっ、会話に参加?

「いま、金比羅さんに彼の作品が展示されていて、そのバスツアーもあるんです。やっぱり11月6日までですけど」
そんなこんな、アーティストガイドのみならず、美術の話も少し。
おねえさんより詳しいおねえちゃん。理由を聞くと、全国に5ヶ所あるホテルチェーンの4ヶ所目がここ高松だという。

「アートコンセプトに携わってきました

」
なるほど。
泊まりもしないのに30分ぐらい。さて、そろそろ船がやってくる。
涙目の2人を置いて、港へ向かおう。一期一会、そんなもんだ。
高松の食堂でいただいたヤノベケンジ・ティラミス。
美味かった
(つづく)
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(朝日新聞デジタル - 10月11日 13:34)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=7143789
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