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2022年08月22日13:00

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オペレッタ《ほほえみの国》��

(続き)

[第3幕]
後宮に閉じ籠められているリーザ。
兄スーに頼まれ、ミーが訪ねてきて仲直りを懇願するが、リーザは拒否。

逃亡の準備ができたとグスタフがやってくる。
ミーはリーザの気持ちを理解し、その手助けをすると言う。

逃げ道を探しているうちに、3人は役人等に捕まる。
スー皇子が現れて問う、「君は出ていくのか?」
リーザ「私はウィーンに帰りたい。」
スーはもはやリーザを拘束する事はできないと考えたのだろう、「君を自由にしよう。グスタフ中尉にあとは任せる。」
スーとリーザは束の間抱擁。
グスタフはスーに感謝し、リーザを連れて去る。
見送るスー皇子は妹ミーに静かに言う、「彼等の幸せを祈ろう。悲しみや苦しみがあろうと微笑むのみ。我等の心の内は誰にも分からない。」
舞台は次第に暗くなって幕を迎える。


カーテンコールについても少し触れておこう。
登場の順番を見ていくと、ラスト前にスー皇子役のチェ・ウォンヒが礼をし、リーザ役のエリッサ・フーバーが最後の最後の挨拶をした。
先に触れたように、このオペラの主役はスー皇子である。
「ほほえみの国」というタイトル自体が彼の歌から来ているし、最後のアリアも彼によってしんみりと歌われる。
テキストからすれば間違いなく主役はスー皇子だ。
だが、このプロダクションのトップはリーザを最重要人物と考えたのだろう。
思い返してみれば、演出も、リーザに最大の共感が集まるように計算されていた。
無論、カーテンコールの順番は知名度も影響するだろう。
エリッサ・フーバーはこのオペレッタの前年には《カルメン》でミカエラを演じている。私が知っているのはその程度で、元々歌手の名前に私は疎い。チェ・ウォンヒは今回の映像が全くの初めてで、他には知らない。

カーテンコールのあと、メルビッシュ湖上音楽祭を締め括る演出は言う迄もなく、華やかな花火である。
ノイジドラー湖の水面に映える花火を観ながら、観客達はオペレッタに酔いしれて会場をあとにしていた。


結局スーとリーザの2人は共に生きていく事ができず、別離で終えた。
19世紀迄のオペレッタではハッピーエンドでないものは珍しかった。
詳細は調べる事ができなかったが、原作の《黄色い上着》はハッピーエンドだったらしい。どのようなエンドだったか、残念ながら知り得なかったのだけれども。
しかし、20世紀に入り、多くの人々は時代の変化に目をつむっている事ができなくなった。
第1次世界大戦を経験したヨーロッパ人には、科学や理性等、人類の万能を能天気に信奉する事は不可能となっていたし、世界大恐慌やナチズムの台頭等、次の戦争への不安や厭世的な気分にも覆われ始めていた。
オリエンタリスムやジャポニスム等、エキゾチズムで多民族が共生できるとは誰にも思えなくなっていたろう。
喜歌劇オペレッタも、当然ハッピーエンドはかりではなくなる。



◆オペレッタ《ほほえみの国》(全3幕/ドイツ語)

原作 ヴィクトル・レオン《黄色い上着》
改訂台本 ルートヴィヒ・ヘルツァー,フリッツ・レーナ―=ベーダ
作曲 フランツ・レハール

演出・振付 レオナルト・プリンスロー
美術 ワルター・フォーゲルワイダー
衣装 クリストフ・クレーマー
照明・映像 ユルゲン・エルントル

指揮 トーマス・レスナー
演奏 メルビッシュ祝祭管弦楽団/合唱団
バレエ メルビッシュ祝祭音楽祭バレエ団

出演
 スー・チョン皇子 チェ・ウォンヒ(T)
 リーザ エリッサ・フーバー(S)
 グスタフ中尉 マクシミリアン・マイア(Br)
 チャン(スー皇子の伯父) 奥川幸一
 ミー(スー皇子の妹) カテリーナ・フォン・ベニクセン(S)
 上級宦官 ハラルド・セラフィン(セリフのみ)
 リヒテンフェルス伯爵(リーザの父) ベンノ・ショルム(セリフのみ)

収録 2019年7/11、オーストリア・メルビッシュ湖上音楽祭ノイジドラー湖特設ステージ
 
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