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2021年10月04日23:56

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映画日記『コレクティブ 国家の嘘』

2021年10月4日(月)

『コレクティブ 国家の嘘』(2021年)
監督:アレクサンダー・ナナウ
伏見・ミリオン座

2015年、ルーマニアの首都ブカレストにあるライブハウス「コレクティブ」で演奏中に火災が発生した。火の回りが早く、ひとつしかない出口めがけ逃げ惑う観客に、焼け落ちた建材がふりそそぐことになり、多くの死者と負傷者を出した。
しかし、被害はそれだけにとどまらない。
事故後、負傷して病院に担ぎ込まれた若者たちが次々と死んでいった。
彼らは火傷を負ってはいたが、致命傷ではなかった。
彼らの死因は感染症だった。
どうして政府が「ドイツと同じレベル」と豪語する病院で感染症になってしまったのか?
疑問を持ったスポーツ新聞の記者たちが、この謎を追究していく。
そして浮かび上がる真相、それは粗悪な消毒剤を利用し、薬品会社と病院経営者と政府関係者がグルになって、暴利をむさぼる巨悪の構図だった・・・・

記者たちが追及するなか、薬品会社の社長が謎の死を遂げる
呆気にとられるような展開だが、本作は紛れもないドキュメンタリー映画。
はじめのうちこそ、遠い東ヨーロッパの出来事という感覚で見ていたが、しだいに他人事ではないような気になってくる。
薬品会社と病院経営者と政府関係者を、学園経営者と財務省官僚と政府高官たちに置き換えれば、日本にだって巨悪の構図は存在する。残念なことに死者も出ている。
広島の1億5千万円も釈然としない。いずれも「暴利」ではないが血税だ。

ここからは床屋政談。
勘違いでなければ、本作の中でちらりと「マフィア」という言葉が出てきた。
そうか、あの人たちはマフィアなのだ。
仲間内では妙に結束し、ボスに尽くせば出世する。
多くが親代々の家業というのもマフィアっぽい。
そういえば、ボルサリーノを斜に、黒のコートに白いスカーフを決めたゴッドファーザー気取りの人もいた。
とにかく、「あの人たちはマフィアなのだ」と思ったら、ストンと腑に落ちた。

閑話休題。
本作には巨悪を追及する記者たちだけでなく、ふたりのユニークが人物が登場する。
ひとりは、火災事故に遭って、両手の指をほとんどなくし、全身がケロイドに覆われた女性だ。彼女はその裸身を写真家の前にさらし、人工のロボット指に挑戦する。
もうひとりが、ウィーン帰りの新任の保健省大臣。
このふたりが、巨悪にむしばまれた社会の希望として描かれる。
ただ、保健省大臣にはとても苦い結末が待っていた。
そのことも他人事ではなかった。


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