mixiユーザー(id:6810959)

2021年09月27日00:09

97 view

映画日記『くじらびと』

2021年9月26日(日)

『くじらびと』(2021年)
監督:石川梵
伏見・ミリオン座

オーシャンブルーの海へ漕ぎだしていく小さな船に、巨大エイのマンタがゴツンと体当たりするシーンで、ハートを鷲づかみにされた。
インドネシアにある、昔から銛(もり)打ち漁法でクジラやマンタを獲ってきた漁村の人びとと、彼らの暮らしを綴ったドキュメンタリー。
海の青さと、クライマックスのクジラめがけ、危険をかえりみずに銛を打ちこんでいく男たちの勇姿にしびれる。
獲ったクジラは、骨を残して肉、皮、油、すべて利用するのはもちろんのことだ。
船主や銛打ちや船乗りたちなどが、昔から決められたルールに則って、クジラの部位を切り取っていき、残った部位は村人全員に配られる。
年に10頭のクジラを獲れば、村人全員が暮らすことができるという。
自然を畏敬し、つましい暮らす人びとを見てると、人間の幸福とはどういうことだろうと考え込んでしまう。
といっても、見終わって映画館から一歩外に出ると、年金が振り込まれるまでの3週間をどうやって乗り切ろうかといった、胸がきりきりと痛くなるような現実が待ち受けており、滅入ってしまう。

なんだか淋しい感想になってしまったが、これは本意でない。
映画を通じて、知らない世界、知らない人びととその暮らしを見ることは、ほんとうに興味深く面白い。
この面白さ、総じて映画の面白さに、面倒くさい現実は勝てないみたい。
まあ、いまのところの話だが。


11 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年09月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930