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2021年09月22日23:07

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映画日記『リバー・オブ・グラス』

2021年9月22日(水)

『リバー・オブ・グラス』(2021年/1994年製作)
監督:ケリー・ライカート
今池・名古屋シネマテーク

本日もアメリカの女性監督、ケリー・ライカートの特集上映を見に行った。

舞台は、フロリダ州のマイアミといっても華やかなイメージとはほど遠く、ときおり画面を横切る貨物列車が、よけいにさびれた気配をかもし出す田舎町。
そこは、かつて先住民が「草の川」と呼んでいた湿地帯だったという。
ヒロインのコージーは三十路の主婦。
小さい子どもがふたりいるが、育児には興味なし。
どこからか善人夫婦が現われて、子どもを育ててくれないかと夢想する日々だ。
コージーは今の暮らしとこの田舎町に、飽き飽きしてた。
どこでもいいから、飛び出したい!!
ある夜、飲みに行ったバーで、コージーはリーという男と出会う。
彼は30手前になったいまも、実家でぶらぶらしてるダメ男だった。
ただ、彼の手には一丁の拳銃が握られていた。
コージーはリーと、彼の車と、彼の拳銃をあてにして、この田舎町からおさらばしようとするのだが・・・・

初めて見た『オールド・ジョイ』には面食らったが、3本目となるとだんだん面白くなってきた。
そもそも、今回の特集上映には「ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ」というタイトルがつけられている。
つまり、キーワードは“漂流”ということみたいだ。
そういえば『オールド・ジョイ』や昨日見た『ミークス・カット・オフ』には、たしかに「ロード・ムービー」の雰囲気があった。
『リバー・オブ・グラス』もまた、武器を持った男と女ということで、ボニー&クライドみたいな犯罪者ロードムービーになるのかと期待したら、うっちゃりを喰らってしまう。
なんと、この映画は、ヒロインたちがマイアミの田舎町からどうしても脱出できない、というお話なのだ。
せっかく拳銃があるのに、どうしても弾けることができないトンチキなふたりに、クスッとなるのだが、これでは“漂流”にならない。
と思ったら、最後の最後にヒロインが「漂流のアメリカ」に旅立つシーンで映画が終わった。
このラストシーンがいい。
ごちゃごちゃと町を出ることが出来ない言い訳をする男に、コージーが銃を一発ぶっぱなして車から放り出し、悠々と見知らぬ世界へ旅立っていく。
本作がケリー・ライカートの監督デビュー作。
まるで、女一匹、これからアタイの「漂流のアメリカ」が始まるのよ!!
と、三十路女のコージーが、そして監督のケリー・ライカートが、その意気込みを高らかに宣言するような幕切れだった。



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