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2021年09月20日23:47

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映画日記『仁義なき戦い 代理戦争』

2021年9月20日(月)

『仁義なき戦い 代理戦争』(1973年)
監督:深作欣二
名駅・ミッドランドスクエアシネマ2

『仁義なき戦い』シリーズ中の白眉、何度見ても面白い。
ヤクザ映画というジャンルを超えた大傑作。

1960年、広島最大の暴力団・村岡組の跡目をめぐるゴタゴタ騒動が起きる。
「広島最大」といっても、あくまで地方のこと。
この騒動に、神戸を二分する巨大組織の明石組と神和会が割り込んできた。
広島のヤクザたちも、両陣営の後ろ盾を得ようと必死だ。
そして、岩国でのイザコザが発端となって、広島で抗争が勃発する。
それは、明石組と神和会という二大組織の代理戦争だった・・・・

見どころは、コッチにつくかアッチにつくか、ヤクザ同士の腹の探り合い。
探り合いの果てに、誰が味方で、誰が敵なのか、分らなくなる。
そのうち、味方のはずがいつのまにか敵になり、敵の敵が味方になったりと一筋縄ではないややこしさになっていく。
そんなヤクザたちの複雑怪奇な相関図を、なんとかシロウトでも分るように、かつドラマティックに仕上げた、笠原和夫の脚本が見事だ。
通常、脚本家は黒子の存在であるべきだが、本作の面白さは笠原和夫に負うところが多い。

あらためて見ると、シリーズの前作『仁義なき戦い 広島死闘篇』に登場した北大路欣也と同様に、渡瀬恒彦扮する若いチンピラが抗争の中で犬死にする。
火葬場から出てきたチンピラの骨壺が、敵対するヤクザの襲撃に遭い、粉々に砕け散ったてしまう。
そのシーンに、「闘いが始まると、最初に若者が死んでいき、その死が報われることはない」といったナレーションがかぶさる。
深作欣二は1930年生まれ、笠原和夫は1928年生まれだった。
ともに戦時中、兄貴のような存在だった若者たちが戦死し、あるいは勤労動員先の工場で米軍の爆撃によって肉体がバラバラとなって死んでいった同年代の若者を、目の当たりにした世代だ。
『仁義なき戦い』シリーズとは、そんな戦中を体験したふたりのルサンチマン、戦争を引き起こし、多くの若者たちを死へ追いやった権力者たちへの怨恨の映画だった。



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