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2021年04月05日23:41

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「みほとけのキセキ」〜遠州・三河の寺宝展 (その1)

浜松市美術館で開催されている「みほとけのキセキ〜遠州・三河の寺宝展」を観てきた。
フォト

 ・会期 3/25〜4/25

本展では、遠江と三河の国境を挟んだ地域(東に現静岡県浜松市,磐田市,袋井市,湖西市、西に現愛知県豊橋市、等)を、1つの文化的つながりを持ったエリアとして捉え、その地域内にある寺院の仏像に焦点を当てた。
京の都から伝播した仏教美術は、この地域にほぼ等しく定着し、平安時代、鎌倉時代、南北朝時代と変化しながら、優れた仏像が多数制作された。
それらの中から、今回特に重要な仏像を一堂に集めた。

展覧会に先立ち、浜松市北区細江町気賀の「みをつくし文化センター」で「仏像入門講座」が開催された。

 ・日にち 3/9(火)
 ・講師 島田直弥 … 浜松市美術館学芸員で本展の企画者

大筋その講座にしたがって、以下、当展につきレポートする。

浜松市美術館は来年開館50周年を迎えるが、仏像展は初めて。
仏像展の運営にはかなりの金がかかる。そして、寺は勿論、地域の協力が必要不可欠で、簡単にはできない。
今回集められたものの中には、寺以外で初公開となる仏像、つまり一度も寺から外に持ち出した事がないものが7体、国指定重要文化財となっている仏像が10体、また、修復後初公開となる仏像が4点あり、大変に稀有な機会となった。
展示した重要文化財は仏像以外にもあり、全16点に及ぶ。

大雑把に言って、日本の仏像には過去3度に亘る存続の危機があった。
1)中世・近世
  武士勢力、寺社勢力間の戦火、地域の政治権力の変化。
  … 源平の戦いの中で行われた平家の南都焼き討ち等がここに入る。
2)明治
  神仏習合の伝統を維新政府が断ち切った。神仏分離、廃仏毀釈により仏教美術の破壊が全国規模で行われた。
3)昭和
  太平洋戦争による空襲・艦砲射撃による被害。
  … 浜松市南区の頭陀寺にあった不動明王立像,薬師如来坐像、竜禅寺にあった千手観音立像等の亡失はこれに当たると思われる。今は写真でしか見る事ができない。

本展タイトル中の「キセキ」は、仏教美術が都から三河・遠江へ伝播した、面的な「軌跡」、平安〜鎌倉〜南北朝へと変遷していった、時代的「軌跡」、また、残されて見る事ができる、それ自体が1つの「奇跡」でもあるとの思いから来ている。

◆仏像のヒエラルキー

ヒエラルキー(尊さ)の順で仏像を分類すると、以下のようになる。
 1)如来
 2)菩薩
 3)明王
 4)天部

1)如来の性格
・既に悟りの境地に到達している → 穏やかな表情、質素な衣服。装飾はもはや不要。
「如」とは真実を意味する。
・椀型に二段に盛り上がった頭=肉髻(にくけい) … 知恵深さの象徴。
・肉髻に付けられた朱色の突起=肉髻珠(にくけいしゅ)…智慧の光明。
・パンチパーマのような髪=螺髪(らほつ) … 1つ1つ右回りに渦を巻いて固まっている。
・額中央にある白い渦巻状の突起=白毫(びゃくごう) … 光明を放つ。

〜釈迦如来,阿弥陀如来,大日如来,薬師如来 等

2)菩薩の性格
・如来(悟り)に向けて修行している身。
・宝冠や装身具を付けている。
・高く結い上げた髪(髷)=宝髻(ほうけい)等
・様々な持ち物。

〜聖観音菩薩,十一面観音菩薩,千手千眼観音菩薩,勢至菩薩,文殊菩薩,普賢菩薩,日光・月光菩薩,馬頭観音菩薩 等

3)明王の性格
・如来の化身とも言われる。如来の教えに従わない人々に対し、姿を変え、怒りの表情で、またある時は武具を使って、救済へ導く。
怒りの相貌=忿怒相(ふんぬそう)、吊り上がった目、剥きだす牙。
・上半身は裸か質素な布。
・飾りを腕,手首に付け、武具には剣,縄=羂索 等。
・火焔の光背を持つ事が多い。
・脇侍として制多迦童子(せいたかどうじ),矜羯羅童子(こんがらどうじ)を従える事がある。

〜不動明王,愛染明王 他

4)天部の性格
共通点を挙げるのは難しい。
仏教成立以前にインドの神話世界に登場していた神達が、仏教に取り込まれた姿。

〜弁財天,大黒天。

四方を護るのは四天王=北;多聞天/南;増長天/東;持国天/西;広目天。
単独で護る時は、多聞天が毘沙門天となる。
邪鬼を踏み付けている事が多い。

例外も多々あるので、個別に注意が要る。
 

(続く)
 
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