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2020年10月07日23:14

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映画日記『鵞鳥湖の夜』『ジャズ喫茶ベイシー』

2020年10月7日(水)

『鵞鳥湖の夜』(2020年)
監督:ディアオ・イーナン
矢場町・センチュリーシネマ

雨が降る夜に、警官殺しで指名手配になった裏社会の男が、長い間ほったらかしだった女房と幼い息子が住む街へ帰ってきた。
うらぶれた駅裏でたたずむ男の前に、おにいさん煙草の火を貸して、と赤い服の女が近づいてきた。そして、女が言う。
あんたの奥さんは来ないわ・・・・

まるで麻薬のような映画だ。
徹頭徹尾、スタイリッシュな映像。
色のつかい方、クスッとなるオフビートな笑い。
少々分かりづらいストーリーで、正直ぼんやりとしか理解できない。
しかし、そのぼんやりとした感覚が、いつまでも醒めない夢ようだ。
ほとんどが夜のシーンなのに、映像がクリアなのは照明のせいだろう。
昔の大映映画を彷彿とする高い技術力に感心する。
これはもう一度見なくちゃ。


『ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)』(2020年)
監督:星野哲也
東新町・名演小劇場

ジャズを聴くことなど、ほとんどない。
それなのに見ようとおもったのは、今年の夏に本作の舞台である岩手県一関市にあるジャズ喫茶ベイシーを訪れたことがあったため。
訪れたといっても、休業中だったので店に入ることはなかった。
酔狂なことに、たまたま店の前まで行ったからという理由で、映画を見ることにした。
ところが、ジャズやオーディオについてまったくの門外漢だが、意外なことに最後まで飽きずに見ることができた。
なんといってもベイシーのオーナーで、本作の主人公である菅原正二氏が魅力的だった。
サングラス姿で、いっけんコワモテだが、ニコッと笑うと愛嬌がある。
アンプやらスピーカーやら、レコード針などのことを語り出すときのうれしそうな顔。
けっこうなお歳だとおもうが、そのカッコ良さにあやかりたいほど。

いくつか勉強になったこともある。
映画評論家の野口久光が、膨大なジャズレコードのコレクターだったことをこの映画で初めて知った。彼は映画だけでなく、ジャズの世界でも尊敬されていた。
たとえるなら、ジャズ界の淀川長治といった感じだろうか。
文字でしか知らなかったサックス奏者・阿部薫の演奏を初めて見た。すさまじい!!
森田芳光監督&石田純一主演の『愛と平成の色男』(1989年)で、石田純一がサックスを演奏するシーンは、ベイシーで撮影したという。
どういうわけか『愛と平成の色男』は封切り時に見ており、ストーリーなどは全部忘れているが、こちらもどういうわけか石田純一のライブシーンだけは印象に残っている。
見たときは、新宿か銀座あたりの渋い雰囲気のライブハウスで撮ったのだろうとおもっていたが、まさか東北の一関だったとは。



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