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2020年05月20日22:22

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映画日記『深夜の告白』

2020年5月19日(火)

『深夜の告白』(1944年)
監督:ビリー・ワイルダー
NHKBSプレミアム【録画】

保険会社のトップ営業マンのネフ(フレッド・マクマレイ)が、交通事故保険の切替えために、顧客である資産家の家を訪れた。
あいにく顧客である主人は不在だったが、かわりに妻のフィリス(バーバラ・スタンウィック)が応対をすることになった。
階段から降りてくる彼女のアンクレットとその美貌にネフの目が釘付けになる。
聞けば、フィリスは後妻で、夫や義理の娘とうまくいっていないという。
そんなフィリスが、ネフにしつこく保険金について聞いてくる。
ネフはフィリスの魂胆に気づき、一度は彼女から距離をおいたものの、やっぱり誘惑を断ち切ることができなかった。
ついに一線を越えてしまったふたりは、フィリスの夫を殺害し、多額の保険金を手に入れようとする。
しかし、ネフには気がかりなことがひとつあった。
それはネフとは気が合う職場の同僚で、ずんぐりとした容貌とはうらはらに、保険金詐欺の調査ではピカイチの才能を発揮するキーズ(エドワード・G・ロビンソン)の存在だった・・・・

昨日の『七年目の浮気』に続いて、ビリー・ワイルダーの映画だ。
今回は、ミステリー映画というより、フィルム・ノワールという呼び方が合っている。
色と欲にまみれた男と女に待っている、暗い結末の物語だ。
見どころのひとつは主要な登場人物を演じた三人の名優たち。
まずはファム・ファタールのバーバラ・スタンウィック。
名前だけは知ってたが、今回初めて見ることができた。
色気のある女優さんだ。
彼女の色香に惑わされるネフ役のフレッド・マクマレイは、子ども時分に見て大笑いした『うっかり博士の大発明 フラバァ』(1961年)で、主演の「うっかり博士」を演じていた。コメディ色の強い人だが、こういう色悪も似合っていた。
そして、エドワード・G・ロビンソンだ。抜群の存在感で、本作の要所要所を引き締める。
本作では、いわば探偵役を演じていたが、どちらかというと悪役イメージが強い人だ。
そんなこともあり、日本映画でいえば、遠藤辰雄や高品格みたいな役者だ。
つまり、好きな役者のひとりということ。

見どころのふたつめは、ドンデン返し。
映画だけでなくテレビの2時間ドラマなどを含め、あまたあるミステリー調の作品で、傑作や良作と凡作駄作との違いは、ひとえにドンデン返しの有無にかかっているとおもう。
「なるほど、そういうことね」で見終わるのと、「ええええ!!!」とおもわず驚嘆の声をあげてしまいそうになるとでは雲泥の差だ。
もちろん、「ええええ!!!」という驚嘆の声に、大小はある。
とはいえ、少しでも驚かせてくれれば、どんなに無名な役者しか出演していなくても、傑作または良作と自信を持って言い切ることができる。
本作も終盤近くになって、「ええええ!!!」となった。
それ以降は、まったく趣の異なる物語になっていった。

まったくの余談がひとつ。
本作の製作年が太平洋戦争真っ只中の1944年だった。
劇中のスーパーマーケットのシーンで、うずたかく積まれた缶詰の山が出てくる。
同じころの日本は「欲しがりません、勝つまでは」の時代だ。
こんな映画のワンシーンにも、当時の日米の差が如実にあらわれていた。
映画を見ると勉強になる。

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