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2020年04月27日21:05

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映画日記『グッバイ、レーニン!』

2020年4月27日(月)

『グッバイ、レーニン!』(2004年)
監督:ヴォルフガング・ベッカー
シネフィルWOWOW

ときはベルリンの壁が崩壊する直前の1989年、ところは東ドイツの首都・東ベルリン。
厳格な共産主義者であるクリスティアーネは、息子のアレックスが反体制派のデモに参加していたのを目撃し、ショックで意識不明になってしまう。
それから8ヶ月、クリスティアーネの意識が回復した。
アレックスは医師から、「これ以上ショックが重なると命の保証ができない」と告げられる。
そうは言われても、ベルリンの壁はすでになく、ドイツ統合を目前にし、東ドイツは存在しないに等しい。
こんな状況を母親が知ったら、ショックで即刻あの世行きだ。
母親おもいのアレックスは一計を案じる。
そうだ、今でも東ドイツは健在なのだ!!
そのために、アレックスはバイト先の映画オタクの協力で偽のテレビニュースを作り、姉夫婦や母親の知り合いを巻き込んで、母親の誕生パーティを開いた。
ところが、アレックスが居眠りをしてる最中に、クリスティアーネが家の外に出てしまう。
そこで彼女が見たのは、ヘリコプターによってどこかへ運ばれていく、レーニンの記念像だった・・・・

録画でなく、本日の放映分を見ただけなので、勘違いしてるかもしれないが、本作はアレックスが母親を騙したつもりが、実は騙されていたというストーリーにようにおもえた。
終盤近くに、アレックスの恋人で看護婦のララがクリスティアーネが何ごとか話かける短いシーンが出てくる。
ララはかねてより「真実を告げるべき」とアレックスに主張していた。
その直後に、西側に亡命していた父親が母親を見舞うことになる。
席を外したアレックスとララが病院のベンチに座りながら、「1時間も話して込んでいるね」と語り合う、こちらも短いシーンがあった。
ララは東ドイツが崩壊したことをクリスティアーネに告げ、クリスティアーネは別れていた夫に、そのことを長い時間をかけて確認したのだろう。
ラスト間際に、経済破綻した西ドイツ市民が避難民として東ドイツに流入してきたことが発端となり、東西ドイツが平和裏に統一されるという偽テレビニュースが流れるシーンがあった。
このとき、アレックスの後方にいるクリスティアーネは、テレビの画面ではなく、息子の背中をじっと見つめていたような気がしてならない。
そして、息子の愛に打たれた母親は、騙されたふりをして、その生を終える。
東や西という思想や体制の違いが引き起こすドタバタ喜劇でありながら、私には母と子が互いを思いやる人情劇の良作だった。


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