mixiユーザー(id:6810959)

2019年10月01日23:59

39 view

映画日記 『あにいもうと』 『大阪の女』 『ザ・カラテ3 電光石火』

「名女優・京マチ子 追悼上映」を見に、1泊2日の大阪遠征。

2019年9月29日(日)

『あにいもうと』(1953年)
監督:成瀬巳喜男
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

東京から派手ななりをして田舎に帰ってきた妹を、村のおとなたちがそろってうしろ指をさした。
自堕落な都会暮らしをする妹に、兄はなにかと辛くあたるのだったが・・・・

荒くれな兄を森雅之、すれっからしの妹を京マチ子が演じた。
名優ふたりによる、派手な兄妹喧嘩が見どころということになるが、無骨な兄が、妹へのおもいをとつとつと語るシーンが本作の核心。
兄妹愛というより、もっと深いものを感じてしまった。

京マチ子が成瀬巳喜男監督の映画にも出ていたことに驚いた。
黒澤、溝口、小津、そして成瀬と、世界的にも名の知られた四人の監督たちの作品に出ていることになる。あとは杉村春子ぐらいか。
やっぱり凄い女優だ。


『大阪の女』(1958年)
監督:衣笠貞之助
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

新世界から天王寺へ行く途中、「てんのじ村」の石碑が建っているのをつい最近知った。
てんのじ村は、戦後、大阪の落語家や漫才師たちが数多く住んでいた芸人村だった。
てんのじ村がモデルとおもわれる、猥雑で、にぎやかな芸人村を舞台にした人情喜劇。

ヒロイン・お千(京マチ子)は、相方でもあった妻を亡くし、今は落ち目となった漫才師の父(中村鴈治郎)とふたり暮らしだ。お千もまた、若い頃に夫と死別していた。
小さな針仕事をしながら、父親を支える気立てのよいお千は、芸人村の人気者だった。
そんなお千に縁談が持ち上がる。相手は若い芸人・米太郎(船越英二)だ。
お千は心の隅で、いまでも初恋の人・宗二(高松英郎)のことが忘れられずにいた。
ところが、ちょっとした行き違いで、お千は宗二にはすでに妻がいると早とちりしてしまい、米太郎と結婚してしまう。
この米太郎、働き者で、思いのほかやさしい夫だった。
お千と米太郎は、つましくとも幸せな日々を送っていたのだが・・・・

京マチ子は役柄によって眉をかえている。
眉を細くし吊り上げれば、気性の激しい女性になり、太くすると、とたんにおっとりとした明るい女性へと変身する。
本作の京マチ子は眉が太い。
彼女の出演作をすべて見たわけではないが。代表作といわれる『鍵』や『浮草』の京マチ子は眉が細い。
『羅生門』や『雨月物語』は眉を剃り落としているのでどちらともいえないが、本作のようなプログラム・ピクチャーになると、眉の太い京マチ子をしばしば見かける。
きっと、素の京マチ子は眉が太かったのだろうと、勝手におもった。

当時の大阪の芸人さんたちが出演していた。
かしまし娘に、ミス・ワカナと暁伸の漫才、平和ラッパのアホ顔は、私も子どもの頃にテレビで見たことがあったので、とても懐かしい。
古い映画のお楽しみだ。


『ザ・カラテ3 電光石火』(1975年)
監督:野田幸男
大阪新世界・日劇東映

これにて山下タダシの『ザ・カラテ』シリーズ全3作をコンプリート!!
あいかわらずトンチキな映画で楽しめる。
第1作と第2作では盲目だった主人公・山下タダシが第3作目の本作では、何ごともなかったように、最初から目明き全開で登場する。
いちおうシリーズなのだから、それはないだろうとおもうのだが、そういう細かいことを気にして文句をつけてる自分が、とても器の小さい人間におもえてくる。


『女必殺五段拳』(1976年)
監督:小沢茂弘
大阪新世界・日劇東映

いまさらこんなことを言うのも遅すぎるが、志穂美悦子、最高!!!
当時、彼女のカンフー映画は見たことがなかったが、突きと蹴りのスピードと切れ、ともに申し分ない。
さらに、『ザ・カラテ』シリーズの鈴木正文館長が、空手アクションを封じて、純粋に役者で勝負していた。
志穂美悦子の父親役なのだが、恐妻家でズーズー弁の三枚目オヤジで登場する。
もう、爆笑。
結局、先週と今週を通じて、すっかり鈴木館長のファンになってしまった。


『誰もがそれを知っている』(2019年)
監督:アスガー・ファルハディ
大阪新世界・新世界国際劇場

名古屋で見逃した1本。

出てくる男たちがひげ面ばかり、女たちも全員目鼻くっきりしてて、私には誰が誰だかよく分からない。
さらに、いわば一族のお話なのだが、誰と誰とがおじさんおばさんで、誰と誰とが甥っ子姪っ子なのかも、さっぱり分からなかった。
人間関係のひりひりするような雰囲気が、とても面白かったが、ラストが理解できなかったのが残念。
たとえば、中東の人たちが『犬神家の一族』を見たら、本作を見た私のように混乱するのかなあ、とおもってしまった。

以上、遠征初日は5本だった。



10 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年10月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

最近の日記