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2019年09月26日23:55

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映画日記 『地獄花』 『ザ・カラテ』 『ザ・カラテ2』

2019年9月25日(水)

『地獄花』(1957年)
監督:伊藤大輔
大阪九条・シネヌーヴォ

「名女優・京マチ子 追悼上映」より未見の1本。

ときは戦乱の時代、馬を乗りこなし、野盗の一員として活躍する美貌の女・すて(京マチ子)が主人公。
すては、その名の通り、捨て子だった幼い頃に野盗の頭領・麿(香川良介)に拾われた。
麿はすてを娘として育てたが、年頃になり美しくなった彼女を、今度は妻としてめとった。
娘であり妻であるすてを麿は溺愛した。
しかし、麿が遠征のために留守をしていたすきに、かねてよりすてに横恋慕していた別の野盗の頭領・馬介(山村聰)が彼女に襲いかかる。
すてに舌を噛み切られた馬介の息が途絶えたところに、麿たちが戻ってきた。
よくぞ、馬介に逆襲したと、麿たちはすてに喝采をおくる。
それから、しばらくして、すてが懐妊した。
大いに喜ぶ麿だったが、すてが身ごもったのは馬介の子と気づき・・・・

オープニングからラストシーンまでの間に、いくたの苦難や苦境を乗り越えて、主人公が成長していく、というのが映画の基本だ。
オープニングでは野性的なフェロモンをふりまくヒロインの京マチ子が、終盤では命を賭して子を守る母親へと変貌した。
いっぽう、たとえば黒澤明の『醜聞』の志村喬や、『静かなる決闘』の千石規子ように、脇役が成長する映画もある。
本作でも成長する脇役がいた。
香川良介演じる野盗の頭領・麿がそうだ。

香川良介といえば、時代劇の映画やドラマで、善人役のイメージが強い。
その彼が、汗で禿頭を光らせ、すての衣服に彼女の匂いを求めて顔をうずめるなどという、野卑な役を演じるとは、おもってもみなかった。
本作は、香川良介のこれまで暴力の世界で生きてきた野卑な男が、情けを知り、自分を裏切った女を赦して終わる映画だった。
後味のいい幕切れだ。


『ザ・カラテ2』(1974年)
監督:野田幸男
大阪新世界・日劇東映

『ザ・カラテ』(1974年)
監督:野田幸男
大阪新世界・日劇東映

見よ!黒い強拳・山下タダシの閃光必殺技!!!
ところで、山下タダシって何者だ????

まったく記憶にないタイトルで、よく分からない映画だが、なんとなく気になったので見に行ったら、とんでもない珍品だった。
はっきり言って、無茶苦茶。
家で見たら、手を叩いて大笑いするような映画だ。

京都で行われる国際武道大会に、アメリカの田舎町から賞金目当てでやって来た、日系人武闘家山下タダシが主人公。
その山下タダシが、ときに悪党どもによって盲目になるというハンデを負いながら、次々とあらわれる強敵武闘家たちを倒していくという物語。

ブルース・リーと座頭市を組み合わせたようなキャラクターを演じる山下タダシが強烈。
どう見ても、主人公というより悪役顔だ。
盲目という設定なので、ときどき白目をむくのだが、その顔が恐ろしいというか、ホント気味が悪い。
おまけに、セリフが棒読み。
棒読みもここまで見事だと、芸のうちだ。

実名と役名が同じなのは、山下タダシが師と仰ぐ鈴木正文館長も同じ。
空手界のことはまったく知らないのだが、トッチャン坊やみたいな鈴木館長が、なかなか芸達者だった。
けっこう映画出演を楽しんでいたような気がしたのは、私だけだろうか。
こちらも棒読みセリフだが、山下タダシとはひと味違う。
「寺内貫太郎一家」の小林亜星みたいに、ひたすらセリフを怒鳴りまくるタイプ。
小太りの鈴木館長だが、一転アクションシーンになると、切れのある突きと蹴りを見せてくれた。

アクションといえば、鈴木館長の娘役を演じた堀越陽子という女優さんも武闘シーンを披露する。
それが、どういうわけか和服でアクションシーンを撮っている。
突き技だけでなく、着物姿で蹴り技もくりだした。
するとですね、蹴ると、当然着物の裾が割れることになります。
第1作目はさほでもなかったが、第2作目になると、あきらかにカメラが狙ってた。

山下タダシが戦う相手たちというのが、見どころだが、それを書き出したらキリがない。

ということで、『ザ・カラテ』シリーズを知らずに死ななくて、ほんとうに良かった。



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