2019年9月20日(金)
『百年の蔵』(2018年)
監督:神央
今池・名古屋シネマテーク
いまから100年ほど昔の大正期に、富山で米騒動が起きた。
その米騒動を題材にしたドキュメンタリー映画。
私は米騒動の騒乱の地であった富山県の滑川(なめりかわ)市で生まれた。
そんなこともあり、どうしても見ておきたかった映画だ。
本作によると米騒動は富山湾に面した港町、魚津(うおづ)で始まったという。
私の記憶では、米騒動が最初に起こったのは滑川の隣町であった水橋町だったとおもうが、今は魚津が歴史の定説になっているのだろう。
いずれにしても魚津、滑川、水橋はひとつながりの地域だ。
富山県の“あのあたり”で米騒動が始まったことには間違いない。
魚津のこどもたちが親しんでいる“郷土かるた”に、
米騒動、魚津女の心意気
という1枚があるという。
かるたの通り、米騒動を起こしたのは、魚津に住んでいた漁師のオッカチャンたちだった。
結果として、米騒動は全国に広がり、当時の寺内内閣を退陣に追い込んだ。
オッカチャンたちが起こした騒動によって、内閣が倒れるとは、なんとも痛快だ。
騒動に参加したわけでもないが、富山の“あのあたり”で生まれた者としては、なんとも誇らしい気分になる映画だった。
『聖なる泉の少女』(2019年)
監督:ザザ・ハルヴァシ
東新町・名演小劇場
ジョージアの山奥にある小さな村で、代々霊験あらたかな湧き水を守り続けてきた一家があった。
老いた父親は、家を出て行った3人の兄たちを見限り、家にひとり残った娘のナメに水の守り人を継がせようとするのだが・・・・
登場人物たちの古くさい身なりから、てっきり100年ほど昔の物語だろうとおもって見はじめたら、突然、車の騒音が流れ出す。
車が行き交う現代を舞台に、神秘的な物語が語られるという作り。
しかし、その物語があるような、ないような映画だ。
セリフが極端に少ないこともあり、私にはすべてが曖昧模糊だった。
本作は物語を追うことより、スクリーンに映しだされる映像を楽しむ1本。
たらいの中の白い魚、オープニングの白く濁りだす川の流れ、ラストの湖面を覆いつくす白い霧、かと思うと漆黒の闇にたいまつの明かりが浮かびあがる。
それらのシーンひとつひとつが、何かしらの象徴であるような気がする。
まあ、気がするだけで、よく分からない。
とにかく、そのうっとりする映像を見てるうちに1時間30分が過ぎてしまった。
ログインしてコメントを確認・投稿する