鉄道旅行記 4
JR線の乗車率70%をめざす2泊3日の鉄道旅行に行ってきた。
第2日目 9月9日(月)
朝の7時に目がさめた。
昨夜のニュースでは、JR線は始発から午前8時まで、計画運休とのことだった。
8時に駅へ行っても、きっと人であふれている。
まあ、10時になれば、混雑も解消されているはずだ。
ホテルを9時にチェックアウトし、ヴェルニー公園というところで時間をつぶすことにした。
公園の木が、台風でなぎ倒されていた。
ホテルの中では気がつかなかったが、かなりの強風だったようだ。
いっぽう、海に目を転じると自衛隊の潜水艦が浮上していた。
実物の潜水艦を見るのは生まれて初めてだ。
そのうち、オレンジ色のベストを着用した隊員たちが甲板に並び、訓練らしきことを始めた。
その様子をベンチに座ってながめていたが、こういうときに限って、時間の経つのが遅い。
いくら潜水艦が珍しいといっても限度がある。
10時には少し早かったが、とりあえずJR横須賀駅に行ってみた。
駅のシャッターが下り、人影がまばらだ。
8時どころか、再開のめどが立っていないようだ。
JR線がだめならと、私鉄の京浜急行・汐入駅へ向かった。
その汐入駅のロータリーに近づいたときだ。
道ばたに一羽の雀の死骸を見つけた。
よく見ると、すぐ近くにもう一羽、雀の死骸があった。
その近くにもう一羽、さらにもう1羽・・・・
数匹どころか道ばたのあちこちに雀の死骸が散乱している。
ゾッとする光景だった。
さいわいなことに、京急は動いていた。
やって来た列車に、身体と手に持ったザックをねじ込んだ。
ギュウギュウ詰めで、電車の中でまったく身動きができない。
そういえば、転勤で東京に住んでいたとき、毎朝通勤で乗っていた京王線がこんな混み具合だったと、昔を思いだして、ちょっぴり懐かしかった。
しかし、そんな余裕もつかのま、駅ごとに乗客は増えていく。
そのうちまわりの乗客に押されて、どういう具合か分からないが、身体がのけぞってきた。
ほとんど『マトリックス』状態だ。
もう少しで倒れそうになるが、車内の乗客が肉の塊になっていて、なんとか持ちこたえている。
吹き出る汗をぬぐうことができないのも苦痛だった。
やっとのおもいで横浜に着いたのだが、この先も地獄だった。
当初の計画では、横浜から横浜線で八王子に出て、八王子からは八高線で高崎へ行く予定だった。
横浜近辺がこのありさまなら、ローカル線の八高線は確実に動いてないだろう。
そこで、横浜から東京に出て、高崎線に乗ることにしていた。
ところが、横浜から東京へ行くことができない。
わずかに走っている電車に、ものすごい人が押し寄せている。
その光景に、とうとう気力がなえてしまった。
そのとき、パッとひらめいた。
在来線はめちゃくちゃだが、新幹線は動いていると、朝のニュースで言っていた。
新横浜から新幹線で東京へ行けばいい。
地下鉄で新横浜に行き、さっそく新幹線乗り場に向かったのが・・・・・
ダメだ、こりゃ。
新幹線の切符うりばに長蛇の列。
考えることは、誰も同じだ。
しかたないので、JR線の在来線改札口へ行ってみたら、横浜線は動いている。
それならばと、改札口の駅員さんに、「八高線は動いてるか?」と尋ねたら、「動いてますよ」と返事があった。
この時点で、すでに13時だった。
とにかく満員の横浜線に乗って八王子に着いた。
駅員さんの言葉どおり、八高線は動いていた。
それも、ダイヤ通りだ。立派なものだ。
川越線と接続する高麗川(こまがわ)という駅で、乗り換えのために1時間の待ち合わせがあった。
駅周辺に喫茶店でもないかと歩き回ったが、何もない
しょうがないので、駅舎の小さなベンチに座っていたが、とにかく暑い。
どっと疲れが出てきた。
「どうして、こんなところにいるんだろう?」
と、つくづくおもった。
それでも、やってきた列車に乗ると、とたんに元気になる。
途中からは高校生たちが乗ってきて、車内がにぎやかになった。
17:11 高崎着
定刻通りだった。
第3日目 9月10日(火)
最終日。
8:44 高崎発
高崎から「上野東京ライン」と呼ばれる電車に乗った。
この電車は高崎から大宮、東京を経由し熱海まで行くが、横浜で途中下車した。
昨日、乗ることのできなかった横浜線の東神奈川〜新横浜間を往復し、横浜に戻った。横浜線完乗。
次は今回最後の乗りつぶし、根岸線だ。
11:55 横浜発
12:25 大船着
根岸線完乗。
大船からは、熱海、静岡、浜松、豊橋と、休憩タイムの途中下車をくり返しながら名古屋へ帰ってきた。
これでJR線の営業キロ、19715.9キロのうち、13822.9キロに乗車した。
乗車率は70.11%になった。
あらためて電卓を叩いてみると、根岸線に乗り、電車が横浜駅から300メートル走ったところで、70%を超えたことになる。
ここまできたら、JR線全線の完乗をめざすしかない。
そうと決めたら、わくわくしてきた。
もちろん、ここからがたいへんなことは承知のうえ。
夏の青春18きっぷは終わったが、10月になると、「秋の乗り放題パス」が発売になる。
まずは、未乗区間が残すところ34.7キロの、JR四国の完乗だ。
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