【三浦綾子読書会ツアー部門主催旭川ツアー報告】
6月25日(月)その4 天人峡訪問
天人峡は東川町にある渓谷で、羽衣の瀧を抱き柱状節理の岸壁がそびえる急流です。
三浦綾子さんの「自我の構図」は冒頭、この天人峡で藤島壮吉が謎の死を遂げることからサスペンスと愛憎劇が始まります。
バスから降りて、羽衣の滝までの道、せいぜい500メートルくらいですが、マイルドにワイルドな道で、ここを自我の構図の主人公(南慎一郎と藤島壮吉)が辿ったのかと思うと、急に周りの景色が興味深いものとなりました。
「自我の構図」は綾子さんの作品の中でも、本当によく練られた作品だと思います。もう少し多くの方に読まれてもいいと思います!!
**************************
自我の構図のあらすじ
旭川北西高校の国語教師である南慎一郎は、同僚の美術教師である藤島壮吉から手ほどきを受け、7年前から日本画を習っていた。二人は家も近く家族ぐるみで付き合う仲であった。実は南は由紀と譲という妻子がありながら、同僚であり絵の師匠である藤島の妻・美枝子に心惹かれている。南と藤島は美枝子をモデルにして同時に作品を仕上げたが、南の作品が日展初出品にもかかわらず入選したばかりか協会賞を受賞する快挙を成し遂げた。同じ時に美枝子を描いた藤島の絵は落選となった。それ以来このことが藤島と南の間に微妙な影を落としていた。
南の日展入選から一年、一緒に出かけた秋の天人峡で藤島が謎の死を遂げる。不慮の事故か、他殺が、自殺か。その死に関して慎一郎は警察から取り調べを受け、遺族からは「殺人者」呼ばわりされ、学校の同僚たちや日本画の仲間たちからも冷たい視線を浴びるようになる。やがて、藤島の妻美枝子、藤島の母松江、南の妻・由紀、南の家に同居する姪の雅子、日本画の大御所である小西蒼龍竜らを含めたそれぞれの人生が絡み合い、思わぬ方向へと動き出していく。
藤島はなぜ死ななければならなかったのか。果たして、人は人を真に愛することができるのか。嫉妬、疑念、罪、欲、エゴイズム。良識を持って誠実に生きているような者の内にも巣くう不条理さや身勝手さ。
一人の死がきっかけとなり、登場人物の心の中に隠されていた事柄がすべて明るみに出され、様相が一変してしまう。人間の本質を鋭く浮かび上がらせた問題作。
**************************
ログインしてコメントを確認・投稿する