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2019年05月15日22:13

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本●「パリ警視庁迷宮捜査班」

本●「パリ警視庁迷宮捜査班」(早川書房)
ソフィー・エナフ:著

読了。

パリ警察の腕利き女性刑事・カペスタンが、重大な発砲事件を起こし停職をくらってしまった。
復職はもう無理かとおもっていた矢先、新設された迷宮入り事件を担当する特別捜査班を任されることになった。
ところが、特別捜査班とは名ばかりで、その実態は警察各部署の役立たずや厄介者を一堂に集めて飼い殺しにする、いわば「物置」だった。
そんな厄介払いされた「物置部屋」のはみ出し刑事たちが、ふたつの未解決殺人事件を追っていく・・・・

本書と同じポケミスから出てるデンマーク産の「特捜部Q」シリーズと似たような設定だ。
しかし、「特捜部Q」のように重くない。フランスらしく、軽やかだ。
ヒロインのカペスタンのもとに、まるで『七人の侍』のように、はみ出し刑事たちがひとりひとり集まってくる。
カペスタンとは犬猿の間柄のルブルトンは、同性パートナーを亡くし失意のどん底から抜け出せない。
トレズは、組んだ相棒が次々と不測の事故や死といった不幸に見舞われることから「死神」と呼ばれ、パリ警察内で忌み嫌われ、誰も寄りつかない。
そのほか、酔っぱらいオヤジ、賭け狂い娘、狂走野郎に密告野郎にハッカー野郎。
きわめつけは、現職の女性警部ながら、書いた警察小説が大当たりで、シリーズ化されたテレビドラマのシナリオも手がける売れっ子作家のロジエールと、愛犬のピロット。
彼ら9人と1匹のやりとりに、クスッとなる。

驚天動地のドンデン返しや、トリックを楽しむというより、なんらかの事情で「ダメ」の烙印を押されてしまった迷宮捜査班メンバーひとりひとりが、もういちど人生の輝きを取り戻していくストーリー。
ランチタイムはきちんと2時間とったり、オフになったら職場で飲み会がはじまったりと、フランス人らしい人生を謳歌する場面も読みどころのひとつ。
「特捜部Q」と同じように、数年中に映画化作品が出てきそうだ。

本作のなかで、賭け狂い娘のエヴラールが、
「バタークッキー3枚を1分以内に食べることができるかどうか?」
と、捜査班のメンバーに賭けを持ちかける場面があった。
作中の結果に、少々疑問を感じた。
大のおとななら、クッキーの3枚ぐらいあっという間に食べ終えるだろう。
試してみようと、森永の“ふわっと香ばしいバターの味わい”という謳い文句の「チョイス」を買ってきた。
「チョイス」はクッキーでなくビスケットだが、まあ似たようなものだ。
時計の秒針が12を指すと同時に1枚目にかじりつく。
唾液が足りないのか、もぐもぐするだけで飲み込めない。
結局ビスケット1枚食べ終えるのに1分かかった。
たしかに1分でクッキー3枚は無理だ。



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