2019年3月27日(水)
『天才作家の妻 -40年目の真実-』(2019年)
監督:ビョルン・ルンゲ
岐阜柳ヶ瀬・CINEX
名古屋で見逃した1本。
予告編から、自分が書いた小説を夫の名前で出版したら評判になり、それ以来、夫のゴーストライターをしてきた文才のある妻の話という、おおよそのあらすじは分かっていた。
見てはいないが、絵画の世界を舞台に、似たような話の映画があった。
ということは、「氷山の一角」という例えのように、世の中ではよくある夫婦の話なのだろう。
たとえば繁盛してる飲食店や小売店は、ご主人の才覚というより、奥さんのお客さんへの気配りや、従業員への日頃の教育があってのこと。
それなのに、勘違いしたご主人は町内会の役員になるやいなや、仕事をほったらかして、町内会のメンバーと連れだち、毎晩お気に入りの女の子目当てに、いそいそとカラオケスナックへ出かけていく、といった感じだ。
そりゃ、奥さんは怒るだろう。
本作の舞台が、カラオケスナックでなく、スウェーデン国王も列席するノーベル賞の授与式という違いはあるが、まあ、似たような展開だ。
あらすじは想像できるが、この夫婦は結局どうなるのか、ずっと気になっていた。
これまで、さんざんコケにされてきた妻は、傲慢な夫に一矢を報いることができたのだろうか?
封切りからだいぶ時間が経っているので、ネタバレみたいなことを書いてもいいはずだ。
『天才作家の妻 -40年目の真実-』のラストは、「夢オチ」ではなくて、言うなれば「死にオチ」だった。
なんだ「死にオチ」かあ、となってしまった。
死がすべての解決策だったというのは、安易だとおもった。
とはいえ、ゴーストライターの妻に扮したグレン・クローズの演技がすばらしい。
とりわけ、ノーベル賞の晩餐会で夫のスピーチを聞きながら、込みあげる怒りにうちふるえるシーンは絶品だ。
マイミクさんもおっしゃってたが、グレン・クローズがアカデミー賞主演女優賞を逃したことが残念でならない。
彼女の演技力が及ばなかったというより、本作のあまりにも凡庸な結末が、マイナスに働いてしまったのではないか、とおもった。
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