週末の鉄道旅行で、しっかりと「鉄分」の補給はできたが、いっぽうで「映養分」が切れてしまった。
仕事休みだった水曜日は、映画3本で「映養分」補給をした1日だった。
2019年3月27日(水)
『狼たちの午後』(1976年)
監督:シドニー・ルメット
荒子川公園・TOHOシネマズ名古屋ベイシティ
昼下がりの小さな支店銀行に、三人組の銀行強盗が押し入った。
ひとりがビビって逃げだしたので、強盗はふたりになってしまう。
とにかく金庫を開けさせたら、雀の涙ぐらいのお金しかなかった。
数分で大金をせしめるつもりだった予定が水の泡だ。
さらには、誰かが通報したらしく、いつのまにか銀行を警察官たちが取り囲んでしまった。
強盗たちは逃げるにも逃げられなくなってしまう。
支店長をはじめとする銀行員たちは、強盗ふたりのとんまぶりに、しだいになれなれしい態度をとるようになり・・・・
中盤まではドタバタ喜劇。
強盗の主犯が最愛の妻を呼び出したあたりから雲行きがおかしくなり、なんとも苦いラストになった。
有名な作品だが、じつは見るのは初めてだ。
40数年前の映画とはおもえないリアリティに、今月公開の新作映画と言っても十分通用する。
主人公の強盗の主犯を演じたアル・パチーノと、相棒役を演じたジョン・カザールがすばらしい。
せこせこと動き回るアル・パチーノと、なんとか穏便に事態を収拾させようと必死の地元警察の刑事との怒鳴り合いは見どころだ。
刑事を演じたチャールズ・ダーニングがいい。
ジョン・カザールが演じたサルという男は少々ピンボケだった。
若はげなのにロン毛という風貌もあって、最初は「何だ、こいつ」とおもって見ていたそのピンボケぶりが、終盤になるにつれ、だんだんと哀れになっていく。
最後には、ジョン・カザールあっての『狼たちの午後』だ、というおもいを強くした。
「やっぱり、負けてしまった」と、社会の底辺でうごめく者たちの怨嗟と絶望を、かすかな自嘲で表現したアル・パチーノのラストシーンを、いつまでも覚えていることになりそうだ。
傑作!!
『書くが、まま』(2018年)
監督:上村奈帆
駅西・シネマスコーレ
映画を見る楽しみのひとつは、これから人気が出そうな新人女優さんを、いち早く見つけることだ。
『SOMEWHERE』(2011年)のエル・ファニングや、『愛の渦』(2014年)の門脇麦がそうだった。
結果として、見つけた彼女が、スター女優への階段を登ることになるかどうかは分からない。
分からないが、スター女優の原石と出会えたとおもう一瞬にめぐりあえるのだから、やっぱり映画は止められない。
『書くが、まま』の見どころは、ヒロインの女子中学生を演じた中村守里(なかむら・しゅり)ちゃんの魅力につきる。
先週見た『あみこ』のヒロインを演じた二階堂ふみ似の春原愛良が肉食系女子ならば、中村守里は草食系だ。草食系で、しかも文系の内向型だ。
文系内向型草食系美少女というと、私が高校生だった頃、同じクラスにいた●●史江さんを思い出す。
ということで、胸の疼く映画だった。
ただし、そうはいっても中村守里扮するヒロインは、か弱き女性ではない。
ダメな男には、きっぱりと「あんたは、ダメ!」と言い切る潔さは『あみこ』と同じだ。
このあたりはことは、今の女性監督たちというより、きっと私のまわりにもいる、今を生きる女性たちの本音なのだ。
この後、岐阜へ移動してもう一本見てきた。
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