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2019年03月21日23:46

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映画日記 『華の乱』

仕事休みだった昨日は、青春18きっぷを使ってミニ遠征だ。
まずは、岐阜で1本。

2019年3月20日(水)

『華の乱』(1988年)
監督:深作欣二
岐阜柳ヶ瀬・ロイヤル劇場

松坂慶子特集の第2弾。
といっても、松坂慶子は主演でなく客演だった。

松坂慶子が松井須磨子役で登場する。
これがまた高慢な女で、舞台では自分さえ目立てばそれで良し、というわがままぶり。
芝居が終わった楽屋裏で、「なんだお前の芝居は・・・」と、相手役だった男優が怒鳴りつける。
もの凄い剣幕だったので、最初は誰が演じてるのか分からなかったが、しばらくして石橋蓮司と分かった。
石橋蓮司の批判に、「お客は私しか見てないから、あれでいいの!!」と、松坂慶子の須磨子も負けじと怒鳴り返す。
激昂するふたりを蟹江敬三がとりなした。どうも、蟹江敬三が島村抱月らしい。
とすると、石橋蓮司は誰の役だったのか?
本作をウィキペディアで検索したら、石橋蓮司の役は沢田正二郎とあった。
沢田正二郎というと、新国劇の沢田正二郎か???
ウィキペディアで沢田正二郎をクリックしたら、確かに彼は一時期ではあるが抱月と須磨子のいた劇団に所属していたという。
ということは須磨子と沢田正二郎が芝居をめぐって大喧嘩をしたというエピソードは、ありえたことだ。

ただ、この3人と吉永小百合扮する本作のヒロイン・与謝野晶子が、本作で描かれているような交友関係にあったかというと、疑問が残る。
互いの存在を新聞や雑誌なので知ってたとはおもうが。
その与謝野晶子が、緒形拳演じる与謝野鉄幹という夫がありながら、松田優作扮する有島武郎と肉体関係を結ぶという話になると、まったくの眉唾ものだ。
有島武郎がアナキスト・大杉栄のパトロンだったというエピソードも出てくる。
ストーリーを進めるためのこじつけかとおもったら、こちらはほんとうのことだった。

といった具合に、虚実をとりまぜ、高校の歴史に登場するような人物たちが、続々と登場する。
教科書から抜け出た彼らが、大声でしゃべり、泣き、笑う姿を見てると、歴史が身近なものにおもえてくるから不思議だ。

ラストの、関東大震災で灰燼と化した東京のシーンがすごい。
いまなら当然CGだが、これを実際に巨大なオープンセットで再現していた。
このシーンを見るだけで、入場料金のもとがとれた。

話を戻して、すごいといえば、松坂慶子もすごかった。
島村抱月が亡くなり、須磨子役の松坂慶子が、その悲しみをひとり芝居で語るシーンがえんえんと続く。
あきらかに方向性の間違った大熱演、分かりやすく言えば「くさい芝居」をこれでもかと続けるので、唖然となった。

まあ、歴史を無視したストーリーや、松坂慶子の大仰な大熱演を見るはめになるので、珍品ということになるが、最近見た『菊とギロチン』や『金子文子と朴烈といった作品と関連していることもあり、最後までとても面白く見ることができた。

見終わって、岐阜から名古屋を通り越して刈谷に向かった。



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