「70/70」 鉄路の旅 3の3
北陸JR線乗りつぶしの旅、最終日。
■第3日目 2019年2月24日(日)
北陸旅行の3日目は、富山県を走る城端線と氷見線に乗る。
まずは城端(じょうはな)線だ。
8:23 金沢発
新幹線で新高岡へ。
8:37 新高岡着
新高岡駅に降りるのは初めて。新しくて立派な駅だ。
ところが、これから乗る城端線は新幹線駅に乗り入れはしておらず、少し離れたところにホームがポツンとあった。
駅の案内によると「100メートル先」とあるが、そんなに遠くではなかったとおもう。
なんだか、城端線が邪険にされているようでかわいそうだ。
9:05 新高岡発
新高岡を出発した2両編成のワンマン列車がのんびりと砺波平野を進んでいく。
私は富山県で生まれ、小学2年生まで住んでいたが、砺波平野に足を踏み入れたのは、この日が初めてだ。
春になるとチューリップ畑が目を楽しませてくれるというが、いまは殺風景だ。
車内では、お父さんに連れられた可愛い坊やが、途中の駅を指さしてさかんにしゃべっている。
どうも、おばあちゃんといっしょにやって来たことのある駅らしい。
城端線沿線に暮らしている親子のようだ。
そういえば、アジア系の若い女性ふたりが、元気よくおしゃべりをしている。
彼女たちも、この沿線に住み、仕事をしているのだろう。
日曜日なのに、制服を着た高校生も乗っている。
普段着姿のローカル線だ。
9:53 城端着
城端線完乗・・・・とはならない。
城端線の始発は新高岡駅でなく、ひとつ隣の高岡駅だ。
高岡までの上りには、乗ってきた列車が折り返すとおもったら、別の車両だった。
これが、列車のあちこちに忍者ハットリ君が描かれた「忍者ハットリくん列車」だった。
忍者らしくハットリ君が天井にへばりついていたのには、笑ってしまった。
10:04 城端発
砺波平野はチューリップだけでなく、散居村(さんきょそん)と、「屋敷林」とか「かいにょ」と呼ばれる防風林が有名らしい。
ウィキペディアによると、散居村とは「広大な耕地の中に民家(孤立荘宅)が散らばって点在する集落形態」とある。
車中からは、散居村がいまひとつはっきりしない。
いっぽう、防風林とおもわれる、樹木に囲まれた家ならあちこちで見かけた。
帰宅してから知ったのだが、砺波市には散居村の展望台があり、人気の観光スポットなのだそうだ。
10:58 高岡着
城端線完乗。
続いては氷見線だ。
11:12 高岡発
氷見線を完乗すれば、今回の北陸旅行も終わりになる。
高岡から氷見まで直行してもよかったが、この日は晴れていた。
天気が晴れなら、どうしても途中下車したいところがあった。
11:32 雨晴着
「雨晴」(あまはらし)という珍しい駅名の看板が撮りたくて、途中下車をしたのではない。
撮りたかったというか、見たかったのはこの景色、海越しに見る立山連峰だ。
晴れてはいたが、陽気が良すぎて、冠雪の立山連峰がかすんでしまったのが残念。
はっきりとはしなかったが、その分、蜃気楼みたいでこれも一興と強がってみた。
12:24 雨晴発
12:32 氷見着
氷見線完乗。
駅からバスで「ひみ番屋街」という観光客向けのお魚市場へ行き、昼食をとった。
奮発してブリの刺身を食べた。
「寒ブリ」のシーズンは終わっていたが、天然ものだろう。
くさみがなくて、おいしかった。
以上で、今回のJR線乗りつぶしの旅は終了だ。
あとは富山から高山本線経由で名古屋に戻るだけだった。
しかし、心残りがひとつある。
氷見駅に着いたときに入手した、手描き風の氷見市内の散策マップに、「氷見キネマ」を見つけた。
ただし、休業中と記されている。
「氷見キネマ」のことは、数年前にマイミクさんの情報で知った。
港町の氷見に新しく映画館ができたというニュースだったが、やはり厳しかったようだ。
もう少しはやく、JR線の乗りつぶしを始めていれば、「氷見キネマ」で映画を見ることができたかもしれない。
散策マップによると、氷見駅のすぐ近くだ。
「ひみ番屋街」へ行く前に探してみたが、映画館らしき建物はどこにもない。
ヘンだなあ、とおもっているうちにバスが来た。
ふたたび駅に戻り、乗車時間までに少し時間があったので、もう一度駅周辺をぐるぐると探し歩いた。
まったく灯台下暗しとはこのことだ。
「氷見キネマ」というから、昭和時代の“町の映画館”を再利用したのだろうと想像していた。
駅前ロータリーのすぐわきにある、何度も通り過ぎた喫茶店が同居する小さな建物を見上げたら、そこに「氷見キネマ」の看板があったのだ。
「旅の終わりに見つけたのは、北国の終着駅にある小さな映画館だった・・・・」
と、ひとり悦に入る。
気分はもう、高円寺竜三だ!!
ということで、はい、パチリ。
14:24 氷見発
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