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2019年01月21日23:51

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映画日記 『闇の歯車』

2019年1月21日(月)

『闇の歯車』(2019年)
監督:山下智彦
東新町・名演小劇場

藤沢周平の原作をもとに、CSの時代劇専門チャンネルが制作した時代劇ドラマを、テレビでの本放送を前に劇場上映した1作。

場末の居酒屋に、毎夜看板まで飲み続けている4人の男たちがいた。
ひとりは遊び人、ひとりは浪人、ひとりは大店の若旦那、ひとりは年老いた小細工職人だ。
それぞれ離ればなれに席をとり、日々の暮らしが辛いのか、ため息まじりに盃をかさねていた。
そんな彼らに、にやにやと薄ら笑いを浮かべながら近づいてくる、胡散くさい男があらわれる。
「ヤバいことはひとつもないから、押し込み強盗の仲間にならないか?大金が手に入るよ」
4人の耳もとで薄ら笑いの男がささやく。
はじめは無視していた4人だが、それぞれがのっぴきならない事情を抱え込んだすえに、薄ら笑い男のことばに吸い寄せられていった・・・・

見どころは、主人公の遊び人に扮した瑛太につきる。
瑛太といえば、ぬうぼうとして、掴みどころのない現代青年みたいな役どころが思い浮かぶ。
その瑛太が、本作ではトレードマークの無精髭をきれいさっぱり剃り落とし、月代(さかやき)もくっきりとした、遊び人になって登場する。
遊び人風情であるが、裏社会で危ない仕事にも手を染めていた。

これが、あの瑛太か?!

と、驚くばかりの変貌ぶりだった。
危険な香りがする一方で、男の私から見ても、なんともいえない男の色気を漂っている。
直感的に、この人だったら時代劇が撮れる、と誰もがおもうだろう。
ひとりの役者の、転機に立ち会った気分だ。

ということで、瑛太をはじめとする俳優陣が見事。
薄ら笑いの橋爪功、『人情紙風船』に出てきてもおかしくない緒形直人の零落した浪人ぶり、老いてのけ者扱いされる職人の鬱屈が痛々しい大地康男、いずれも適材適所。
若旦那を演じた中村蒼という人は本作で初めてその存在を知った。
本来は二枚目なのだろうが、そのうらなりぶりに感心した。
客演の中村嘉葎雄になると、もう別格だ。
意外といっては失礼だが、薄幸な町娘を演じた石橋静河が違和感なく画面になじんでいた。

しかし、どうしてなのだろうか、本作は時代劇映画ではなく、時代劇ドラマだった。
時代劇の映画とテレビドラマ、この違いがどこから来るのか?
実は私にもよく分からない。
エキストラの数や、既視感のあるセットのせいだけではないような気がする。
市川雷蔵の『眠狂四郎』シリーズなどは、簡略化されたセットで撮られているし、エキストラも少ない。
それでも、時代劇映画として遜色のないものだった。

うーん、考え過ぎなのかもしれないが、やっぱりよく分からない。


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