歯が痛くて、昼食がとれなかった。
歯の痛みは、放っておいても治ることはない。
仕事帰りに歯医者にとびこんだ。
ドリルでがりがりやられて、口中が血だらけだ。
こんな状態でも、金曜日の夜ともなると映画館が恋しい。
2018年9月28日(金)
『クワイエット・プレイス』(2018年)
監督:ジョン・クラシンスキー
名駅・ミッドランドスクエアシネマ
ひとたび音を立ててしまったら、猛スピードでかまいたちみたいなのがやって来て、その人間を八つ裂きにしてしまう。
そうやって人類が滅亡しそうになった世界で、ひとつの家族が生き残っていた。
若い夫婦に、聴覚障害の長女と幼い弟ふたりの5人家族だ。
極度の緊張と、先の見えない絶望の中で、この家族のサバイバルが続いていく・・・・
音を立てたら、お終い!!
という、アイデア勝ちの1本。
アイデアのシンプルさがいい。
音を立てないために、会話も手話中心だ。
しかし、ただ手話だけを映していたら社会派映画になってしまう。
主人公の一家に、何としても音を立てるなり声を出してもらわなければ、娯楽映画にならない。
中盤まではだんまり劇が続くが、ある一点を境にして、登場人物たちが思わず叫び声をあげ、音を立ててしまいそうなシーンの連続だ。
その一点というのが、激痛シーンだった。
さっきまでの歯医者のキーンというドリル音を思い出し、からだがこわばり、ううっと歯を食いしばってしまった。
しかし、どんな激痛であっても、声を出してはいけない。
そうはいっても、痛いものは痛い。でも「痛てえ!!!!」と叫べない。
この激痛シーンから、ハラハラドキドキがヒートアップしていった。
そう、ホラーというより、ハラハラドキドキを楽しむ映画だ。
滝の裏側に入れば、落ちる水の音で、かまいたちみたいなのには声や音が聞こえないという伏線の回収シーンにクスッとなる。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』のようなグッとくるシーンもいい。
長女役のミリセント・シモンズが、前作の『ワンダーストラック』に続き、利発で意志の強い少女を演じていた。
エル・ファニングと同じように、早く次回作が見たい女優さんだ。
そして、ラストシーンで不敵な笑みを浮かべるエミリー・ブラントが、決まっていた。
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