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2018年09月17日02:30

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映画日記 『愛しのアイリーン』

『KUSO』の前に1本見ていた。

2018年9月16日(日)

『愛しのアイリーン』(2018年)
監督:吉田恵輔
伏見・ミリオン座

舞台は少しだけ繁華街のある、農業中心の田舎町。
農家のひとり息子で町のパチンコ店に勤めている・岩男(安田顕)は、40歳を過ぎても嫁のきてがなく、毎晩エッチなビデオを見て悶々としていた。
ある日、なにもかもが嫌になった岩男が家を飛び出してしまった。
心配した母親のツル(木野花)が、あちこち探し回るが、岩男の行方は分からずじまいだった。
そんなさなか、ボケがはじまっていた父親の源造(品川徹)がポックリと亡くなってしまう。
源造の葬儀の日、黒い喪服の参列者中に、短パンと派手なポロシャツ姿の岩男がいた。
岩男の突然の生還に、ツルは驚く。
しかし、ほんとうの驚きはその直後だった。
岩男の背後から、小柄なフィリピン娘が姿をあらわしたのだ。
彼女は、アイリーン(ナッツ・シトイ)という名の、フィリピン花嫁だった。
そのときから、岩男とアイリーン、そしてツルの、壮絶な日々が始まった・・・・

いわゆる外国人花嫁が題材だ。
アイリーンは金が欲しくて結婚し、岩男は性欲の解消だけが目的だった。
はじめは打算でしかなかったふたりが、しだいに離れられなくなっていく。
今の日本における在住外国人問題がテーマかとおもっていたら、なんだか男と女の腐れ縁の話に見えてきた。
男と女の腐れ縁というと、『夫婦善哉』や『浮雲』のように、日本映画の伝統だ。
しかし、時代は21世紀に入ってから、すでにかなり時間が経っている。
繁華街だけでなく、私の家の近所でも、欧米系やアジア系をはじめ、アフリカ系やイスラム系の人たちが暮らしている。
これからは、森繁と淡島千景や森雅之と高峰秀子のような、日本人同士のカップルだけに、腐れ縁の専売特許があるわけではない。
きっとそんな風に、日本映画も世の中も変わっていくのだろうと、予感する映画だった。

映画の中で、「FUCK」や「マザーファッカー」をいちばんたくさん連呼した俳優はサミュエル・L・ジャクソンというのが定説だ。
いっぽう、本作の安田顕は、“御禁制の4文字をいちばんたくさん連呼”した俳優として、日本映画史にその名を残すことになりそうだ。あっぱれ。
ナッツ・シトイという女優さんがどういう経歴なのか、まったく分からない。
一本調子の妙な日本語は愛嬌として、セリフが英語やタガログ語になると、表情をかえビシッと芝居をしている。
雪の中に映るラストの横顔が、まさに愛おしい。
因業だった木野花が最期に知るよろこびと、幸せうすい河井青葉が心にしみる。

田畑が緑の夏のシーンと雪の積もった冬のシーン、そしてフィリピンロケと、時間をかけたていねいな撮り方が映画に深みをあたえていた。



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