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2018年09月14日23:59

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本●「ニッポン 終着駅の旅」

本●「ニッポン 終着駅の旅」(平凡社新書)
谷川一巳:著

読了。

夏に東北を旅行したとき、ゴールは青森と決めていた。
私が乗った奥羽本線の終点だ。
かつては東北本線の終点でもあった。北へ向かう人たちが青函連絡船に乗り換える駅だった。
いまは本州から北海道に渡る列車は、すべて北海道新幹線に集約されている。
そういえば、一世を風靡したブルートレインの「北斗星」や「カシオペア」も走っていない。
青森駅から北海道に向かう列車は、もう1本もないのだ。

青森駅に私が訪れたのは、ねぶた祭も終わったお盆時期だった。
県庁所在地なので、駅前にはそれなりの人通りはあるものの、ごった返すという雰囲気ではない。
正直なところ、秋田駅のほうがはるかに活気があった。
夕暮れどき、駅舎の屋根にある、「あおもり駅」と書かれた、弱い緑色の電光を放つ駅名表示を眺めてたら、なんだかわびしくなってきた。
漢字の青森でなく、ひらかなの“あおもり”というところに、生気あふれる時代を終え、いまは静かに余生を送る老人ような味わいがあった。
そして、海に向かって伸びたホームが、行き止まりになっている。
その様子に、「ああ、ここは終着駅なんだ」とおもった。

先日、大阪で乗った桜島線の終点・桜島駅や、JR東海の乗りつぶしで訪れた名松線・伊勢奥津駅、東海道本線にある盲腸線の終点・美濃赤坂駅、それぞれに終着駅の風情があった。
長崎も終着駅だった。

うーむ、鉄道旅行の醍醐味は終着駅だな。

と、そんな気にさせてくれた1冊。
まあ、センチメンタルな気分だけでなく、たとえばバスや船を使って、終着駅から先へ進んでみようという、新たな旅の楽しみも載っている。

紀勢本線の和歌山から和歌山市駅間がまだ未乗になっている。
まずは完乗をめざすつもりだが、和歌山市から南海線に乗り換えると、和歌山港駅に着く。
この和歌山港からは四国の徳島まで航路で行くことができる。
本書によると、まるで「鉄道連絡船」の旅が味わえるとある。
青函連絡船も宇高連絡船もなくなったので、これにはぜひとも乗ってみたい。

なんだか、居ても立ってもいられない気分になってきた。


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