mixiユーザー(id:6810959)

2018年09月07日02:21

105 view

映画日記 『白い崖』

『恋と太陽とギャング』に続いて、もう1本。
この日の本命だ。

2018年9月5日(水)

『白い崖』(1960年)
監督:今井正
大阪新世界・日劇東映

冒頭で、あの木村功が水上スキーを披露する。
顔がはっきりと分かったので、吹替えなしだ。
絶対にスポーツとは無縁の人とおもっていただけに、映画の開始早々に驚いてしまう。

主人公は田舎から東京へ出てきた貧しい出自の青年・尾形(木村功)だ。
彼は証券会社のワンマン社長・大橋(進藤英太郎)の秘書だった。
尾形は社長令嬢の恵子(佐久間良子)と恋仲で、将来は彼女と結婚し、出世し、素封家である大橋一族の一員になるという野望を抱いていた。
尾形に夢中の恵子は父親に甘えてみるが、大橋は結婚に反対だった。
そんなおり、大橋が脳溢血のため妾宅で倒れてしまう。
その場をうまく取り繕ったことが縁で、尾形は大橋の浮気相手であるバーのマダム・英子(藤間紫)と関係を持つ。
いっぽう、大橋は一命をとりとめたものの、よいよいになってしまった。
ある日、付き添い看護婦が用足しに出かけ、訪れた尾形と大橋がふたりきりになってしまう。
そのとき、尾形の言動に激怒した大橋が、突然死んでしまう。
大橋の死を知って、会社の重役や上層部の面々が、続々と邸宅に集まってきた。
彼らは尾形を取り囲み、社長の遺言はなかったか?と、問いただした。
もちろん、遺言なんかない。
しかし、尾形はおもむろに口を開いた。
後任の社長人事といっしょに、恵子との結婚も織り込んだ。
数ヶ月後、恵子と結婚した尾形には、女中や小間使いに取り囲まれた、豪邸暮らしが待っていた。
会社でも、若くして課長に出世した。
富と美しい恵子を手に入れ、かたや亡き社長の愛人だった英子との関係も続いていた。
両手に花、得意満面、前途洋々、順風満帆の日々が続くはずだった。
しかし、・・・・・

これ以上は、ネタバレになるので書けません。

鬱屈とした貧しい青年が、高嶺の花のような女性を手に入れ、上流社会に這い上がろうとして、というパターンの話だ。有名なところでは『青春の蹉跌』だろうか。
ネットで調べたら、石川達三が「青春の蹉跌」を書いたのは1968年とあった。
本作のほうが先だ。
シナリオが菊島隆三だったこともあり、なんとなく黒澤明の『天国と地獄』と似てる。
木村功と山崎努がどこか重なって見えた。

見どころは絢爛たる女優陣。
若い頃の佐久間良子はホントいい。清楚と肉感的なところが入り混じってる。
豪邸の若い女中を演じたのが中原ひとみだった。
野添ひとみの妹を演じた『姉妹』(1955年)での愛らしさは、直前に見た本間千代子と同じように感激ものだった。
『姉妹』から5年後の本作では、木村功とねちっこいラブシーンやキスシーンが出てくる。
「バンビちゃん」と呼ばれたあの中原ひとみがと、妙な感慨にふけってしまったが、彼女は私よりずっと年上だ。
古い映画をたくさん見てると、時間の感覚がおかしくなってしまう。
女盛りの藤間紫もナイスだ。和服が似合う。

そして、有馬稲子だ。
とにかく、この日は若い頃の有馬稲子が見たくて、わざわざ大阪にやってきた。
フランス帰りのお嬢さまという、高嶺の花感が満開だ。
小生意気なところも含め、彼女にぴったしだ。
ところで、本作は後半がミステリーになる。
そのミステリーパートの探偵役が有馬稲子だった。
この頃の有馬稲子がもっと見たくなる。

女優のことばかり書いたが、木村功をはじめ、進藤英太郎や小間使い役の織田政雄など男優陣もていねいな演技で好感がもてる。

ということで、映画は面白かったが、帰りになっても鉄道ダイヤがめちゃくちゃだった。
大阪駅で、目の前にあらわれた30分遅れの快速電車に乗ったのだが、高槻を目前にしてのろのろ運転になってしまった。
結局、高槻には50分遅れで到着と、アナウンスがあった。
こんなことでは、青春18切符を使って名古屋まで帰れるのかと、心配になってきた。
なんとか京都についたので、ここでギブアップ。
京都からは新幹線にした。



8 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年09月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30