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2018年08月01日22:00

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《2018京阪4》DID/暗闇の合コン

ダイアローグ・イン・ザ・ダーク。
数年前にTBSラジオからの頻繁なコマーシャルに気にはなっていた。
芝居?パフォーマンス?宗教?
真っ暗な部屋に入って何かを体験して、研ぎ澄まされた心身に生まれ変わる。
そんなセールスコピーだったような気がする。

ある日、感性豊かな同級生ちゃんから「オスカーくん、DID行ったことある?」なんていうメールをもらって、持ち前の冒険心に火がついていた。
東京の開催を調べてみたら、赤坂での公開はかなり昔に閉じていて、現在はホールセール(企業向け)の浅草橋会場のみ。
個人対象は大阪駅前に常設とある。

大山崎山荘美術館とともに訪阪前に予約をしておいたDID(ダイアローグ・イン・ザ・ダーク)指でOK
予約時間の17時を目標に伏見稲荷を発って、16時30分ほどに大阪駅に到着する。
フォト
大阪駅が未来都市。
一体、ここは今までなにがあったのか。
会場への案内図は「大阪駅から徒歩3分」とあったが、スーパーラビリンスなグランフロントで案の定、彷徨い歩き、結局15分前にナレッジキャピタルへの到着を果たす。

フォト
担当のおねえさんから簡単なオリエンテーションを受け、「光の発するもの」「音の出るもの」は一切身に着けずロッカーへ格納する。
おいらの場合、お尻の穴からもいい音が出るが、そのことはおねえさんには内緒にしておいたマル秘

定員6名のところ、今回の参加は5名。男子2名、おねえちゃん3名。
17時、オンタイムにスタートする。
アテンドしてくれるチャッキーさん(←ニックネーム)の指示に従って、最初の部屋に入ると白杖を渡されて使い方のレクチャー。
もちろん持つのは初めての経験。
5人がそれぞれのニックネームを決めて、黒いカーテンを越えて照度がどんどんと落ちていく。
ちなみに、おいらときたら「オスカー」じゃあれなので、中学時代のニックネーム「〇ちゃん」をアサイン。そういえば、おいらが辿ってきたニックネームの歴史は、ちっとも自分の氏名が絡まない。なんでやねん、旧友たち。

真っ暗になってきた部屋で6人が白杖をとんとんと床についたり、手の甲を差し出して距離感を確かめる。
いよいよ「夏休みに遊びに行く田舎の家」へ、みんな揃って遊びに行く。

とはいっても、部屋の中は100%純正な暗闇。
何も見えない。
視覚以外のあらゆる感覚を研ぎ澄ませて、アテンドしてくれるチャッキーさんの声を頼りに玄関へ向かう。
ほかの4人とはつかず離れず。暗闇で失礼がないように、手の甲を先に出しておくのが男性の礼儀。
できるだけ、自分がどこにいるのか「ニックネーム」とともに会話をこなしていく。

玄関の上がり框に座って靴を脱ぎ、畳の部屋に入る。
といっても、何ひとつ見えやしない。どんな光さえ入ってこないのだ。
おそらく庭先ではヒグラシが静かに啼き、スズムシも彼に負けじとのどを鳴らしている。いや、尻をすり合わせているんだっけ。

女子たちが座布団を渡してくれて、丸いちゃぶ台に腰かける。
しかし、この状況も全くの想像でしかない。
部屋の中にはもう一人のアテンダー、ヒデさんが居てくれて、我々5人の会話が盛り上がるようにとフォローする。
ただ、今回は残念なことに静寂を悪とするおしゃべりおじさん(←おいら)がいたため、話題に尽きない。
もう一人の男子(和歌山県出身、池袋在住)が「〇ちゃんさん、なんでも知ってるんですね」と、おいらをwikiペディアのように尊敬してくれていた。
ちなみに、おねえちゃんたち3人は石川県から会社の慰安旅行でやってきたOL仲間。
21世紀美術館のことは「マルビ」って言うんだってことと、石川県で一番好きな場所は「千里浜」なんだってことを、まるで合コンのように聞き出すことに成功した。
真っ暗闇だと、日ごろ内向きなおいらでさえ、女性と会話が楽しめる。

縁側に出て庭の雰囲気を手探りで味わう。
ビニールプールが置いてあり、水鉄砲でおねえちゃんたちに向けてトリガーを弾く。
真っ暗闇の向こうから、おねえちゃんたちの「冷た〜い」の悲鳴が聞こえてくる。
視覚が失われていても、おねえちゃんたちの在り処は臭覚でわかるものだ。
55年に渡って研ぎ澄まされた女子嗅覚。我ながら見事である。

ところで、DIDを体験する2時間前には、びしょびしょのシャツで電車に乗り込んでいた。もし、このまま着替えもせずにここにきていたら、視覚を失ったおねえちゃんたちの臭覚によって、おいらの加齢臭+加汗臭がかぎ分けられ誰ひとり近づいてくれなかったに違いない。
そこはさすがの川崎オスカー。
グランフロントへ行く前にヨドバシカメラの8階まで昇ってユニクロしてきたので心配ご無用なのだ。

音だけで火のない線香花火を楽しんで、もう一度、畳の部屋で団らんする。
話題は「小さいころ、夏休みになにしてた」。
ヒデさんがサイダーや麦茶を入れてくれて、幾つかの話題が通り過ぎたころ、家の前を豆腐屋のラッパが鳴る。
猫「そろそろ、みなさんの帰る時間になってしまいましたね」
チャッキーさんがそう告げると、私たち5人は立ち上がり玄関を目指して助け合い、足を擦りながら畳と敷居と縁側の違いを感じながら靴を履く。
玄関に置いてあった白杖を再び手にして、黒いカーテンの向こう、つまり現実へと戻ってきた。

70分間の漆黒の旅。
すぐにロビーに出ると強い灯りに目をやられるので、少しずつ待機室で目を慣らしていく。5人が笑顔の再会。
そしてアテンドを務めてくれたチャッキーさんとヒデさんが、我々のダイアローグに感想を加えてくれた。
2人とも視覚障害者で、彼らにとっては漆黒の世界が常に現実にある。

これまでもどこかで白杖の人を見掛けると、可能な限り手を携えてきた。
時にはおねえちゃんと舞台に出掛けて、その感想を語り合っている途中でさえも、そうしてきた。それが、目の見えているものの当たり前の行動と、教わることなく身についた。
DIDに参加してみて、多くのことを初体験して、多くのことを心に刻む。

アテンドの彼らは暗闇で不自由にする私たちを、優しく迎え入れ、そしてケガのないように随行したり声を出したりしてくれた。
70分暗闇に居たからと、まるで暗闇でも行動できるような気がしたまま現実に戻ってみたが、大阪の街を歩いてみて気がついた。
人ごみ、車列、或いはホームにて。
これほどまでに危険な場所に、どうして視覚を失った人たちが安全に歩けるというのか。もし、おいらが千手観音ならば、千の手を持って多くの人たちをアテンドしたい。

ダイアローグ・イン・ダーク。
同じテーブルで感想文を書いて、ほんの少しだけ会話して、それぞれの帰路に分かれていった。
文字通り一期一会。しかし、受け取った感性はこれからもみんなで持ち続けることだろう。貴重な経験だった。大阪唯一、ここにあり。

追記。
今日の新聞記事で読んだ『ダイアローグ・イン・サイレンス』。
こちらは聴覚をヘッドセットでふさいで、手や表情だけで会話をするというワークショップ。全部、あおい。



■自分のできることを…「ボランティア」の参加経験、ありますか?
(TOKYO FM + - 07月31日 19:10)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=257&from=diary&id=5224556
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